執刀医のように現れる笑う患者 初めての手術台
ICU担当の女性看護師が2人
手術室まで僕を先導している
僕はというと、雑然とした廊下を自分の足で淡々と歩き、1分も歩かないうちに手術室の前に来た
手術室のドアは広く開いている
ストレッチャーを真横にしても、通れるくらいだ
ストレッチャーを真横にしても、通れるくらいだ
それは看護師がキックボタンで開けたのか、記憶がない。
看護師の役目はそこまでで、手術室には僕1人が入っていく。
正面にはこれから僕が横たわるベッド
それを取り囲んでいるのは、うすい緑色の手術着に身を包んだチームの皆さん
ひーふーみー
と数えはしなかったが、10人くらいはいるだろうか
準備中の手を止めて、お待ちしていました
と言わんばかりに、誰もが僕の方を見て微笑んでいる。
彼らが小難しい顔をしていたら、患者の側が萎縮してしまう。
患者をリラックスさせるためにも、彼らは快活に振る舞っているのだ。
少なくとも、この時の僕にはそう見えた。
彼らが小難しい顔をしていたら、患者の側が萎縮してしまう。
患者をリラックスさせるためにも、彼らは快活に振る舞っているのだ。
少なくとも、この時の僕にはそう見えた。
にこりと微笑んで、よろしくお願いしますと会釈する。
自分の足ですたすたと歩いて来て、じゃよろしくと言っている僕はあたかも、これからメスを執る執刀医のようだ。
ストレッチャーに乗せられて運ばれる患者のような悲壮感はここにない。
ストレッチャーに乗せられて運ばれる患者のような悲壮感はここにない。
思いも掛けぬこの情景が意外で、それに僕はウケてしまい満面の笑みを浮かべる
こんなに笑っている手術前の患者は珍しいな
数人のメンバーはそう思ったかも知れない。
「こちらからお上がりください」
手前にいた目の大きい女性が手招いている。
その後も、全体の進行を取り仕切っていたので、恐らく一目置かれるポジションにいる人なのだろう。
ステップの下で靴を脱ぎ、ゆっくりと手術台へと上がる
手前にいた目の大きい女性が手招いている。
その後も、全体の進行を取り仕切っていたので、恐らく一目置かれるポジションにいる人なのだろう。
ステップの下で靴を脱ぎ、ゆっくりと手術台へと上がる
生涯で初めてあがる手術台
ようやく、ここにたどり着いた
ようやく、ここにたどり着いた
日本人のどれくらいが、一生のうちに1度ここに上がるのかわからないが、少なくとも病理がある以上、上がらないわけにはいかない場所
全幅の信頼を置く医師の手で、次に目覚める頃、僕は健全な状態を取り戻しているだろう。
そう確信していることが、気持ちをしっかりしたものにしている。
全幅の信頼を置く医師の手で、次に目覚める頃、僕は健全な状態を取り戻しているだろう。
そう確信していることが、気持ちをしっかりしたものにしている。
「麻酔を担当します***です」
始めに麻酔医が自己紹介する
「よろしくお願いします」
僕はにこやかに応じる
僕はにこやかに応じる
つづいて、いろいろな人たちが挨拶に来る
メモを取るわけにいかないし、名刺をくれるわけでもないので、誰がなんと言う名前で、どんな役割の人だったかを記憶していない
幸いなのは、次々に話しかけてくれるから、緊張する間もないということだ
「それでは、麻酔薬を入れて行きます」
その言葉を最後に、僕の記憶は消える
麻酔薬が左の腕から入っていく時、あっという間に気持ちよくなり「あとは医師に任せるだけだな」と思ったのが最後の記憶だった。
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