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2015年11月25日 (水)

人はなぜ箱根駅伝を見るのか?

(推論1)
人が見ているから

ラグビーの生中継を見たいと思っても、一定の視聴率がとれなければテレビ局は放送しません。
W杯でいい結果を残して、人の関心が高まった。
だからテレビ中継が行われる。
それでまず、見るための方法ができるわけです。


もう一つは、2000年代以降の日本を覆うベストセラー追随指向。
音楽、書籍、映画・・
たくさんの人が聴いた、泣いた、興行収入1位。


誰もが感動するならば、それは僕にもそうだろう。他の誰かと同じように。

数字は嘘をつかない
自分で見極めるとハズレが多い
あなたは、そう学習してきませんでしたか?


たとえば、あなたが新しいパソコンを買う時、どのように選んでいるでしょうか。
CPU、メモリー、HD、いろいろなスペックを調べあげて、自分の実情に合った仕様と価格をにらめっこ。
そこまでは、多くの人がしていると思いますが、最後にカカクコムで売れ筋ランキングを確認していないでしょうか。

自分が選んだモノが87位?
あれ、なんでこんなに低いの?
あ、まだ出たばかりなのか。
ところで1位って何?
あぁこれか。このメーカーはこれまでに使ったことがないし、外資系だからなぁ(笑)
でも、誰もが買っていると言うことは、自分も考え直してみようかな。


たとえば、まだCDがなくて世の中の音源はLPレコード。
レンタルレコードもなかった時代。
音楽雑誌に紹介されているカッコイイジャケットのロックアルバム。
「**史上最高傑作」「ハズレ曲なし」
といった編集者による、商業寄りの無責任なキャッチをみて、あなたはなけなしの小遣いをはたく。

しかし、ターンテーブルに乗ったLPが奏でたのは、いま一つ心に響かないロック音楽。
ハズレ曲ばかり・・
あぁ失敗したな。

そんな経験を積んで大人になった方ならば、今この時代、これだけのセカンドオピニオンが溢れていることが、普通ではないことを知っているでしょう。



1997年から一気に普及したインターネット
日本のインターネット人口は1億人(2010年)

人々は感動を言葉に換えて、日本語圏の人々に発信する。
それを受けて、みんなのテーマが醸成される。

そのテーマから商売になりそうなものを選んで、企業が商品化していく。
テレビと新聞とインターネットで拡散すると、それは大きなうねりになる。

それがライブ体験を伴うものであれば、ユーザー(=参加者)は主宰者側に立って発言するエンスージアスト"熱狂的なファン"となり、さらなる感動の拡大再生産に与してくれる。
そうしたテーマのひとつが箱根駅伝である。


人気の高いアマチュア・スポーツ大会である甲子園(全国高校野球選手権大会)が全国から満遍なく参加者を得る大会であるのに対して、箱根駅伝はローカル大会。
学生三大駅伝と呼ばれるうち他の2大会には「全日本」がついているのに、箱根駅伝は地域を冠しておらず、コースだけを冠している。

学生三大駅伝
①出雲全日本大学選抜駅伝
②全日本大学駅伝
③東京箱根間往復大学駅伝

甲子園はライブで見られない関西以外の人も、テレビでよく見ている。
甲子園には一度も足を運んだことがない"甲子園ファン"は多い。

同じ要領で箱根駅伝の沿道には一度も足を運んだことがない"箱根ファン"は多い。
ただ、関東の大学だけが出場している大会であるとはじめからわかっていたら、これほどまで人気大会になったか疑問だ。

今でも主宰者側が「箱根駅伝には地方大学は出ていません」とわざわざクレジットすることはない。
もちろん、これまでもそうだ。
一定の大きさに育つまで、慎重に育てれば、そこから先、細かいことはどうでもいいのだ。
一定のファンを確保した箱根駅伝は、新たなるファンを吸い寄せる。

それは、日本人特有のベストセラー追随指向が働くからだ。


交替で休むお盆とは違って、正月休みは多くの人が一斉に休む。
1月2日~3日といえば、サービス業以外の人は皆、休んでいる。
だからといって、誰もが街コンするほど元気でも裕福でもない。

無料の娯楽「TV」で感動が得られる箱根駅伝をみて、家族やネットの仲間と、同じ時代を共有することは、今年もここで生きていると確認する貴重なイベントになりつつある。


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