早起きしてホルモン負荷試験
病院の一日
6:00 点灯
7:30 起床 体重・体温・血圧計測
8:00 朝食
12:00 昼食
18:00 夕食
22:00 消灯
いつもならば起床は7:30だが、今日は6:00起き。
手術後6日めにおこなう「ホルモン負荷試験」である。
ホルモンとは、機能の抑制・促進のために内分泌される物質。
ホルモンは血液と共に各器官へ運ばれる。
ホルモンを分泌する器官はいくつかあるが、もっとも役割が多いのは下垂体。
その下垂体が腫瘍によって押しつぶされているのが下垂体腺腫。
患者は概ね、各ホルモンの機能を示す数値が正常値より低くなっている。
検査の正式名称は「下垂体前葉負荷試験」
早朝、空腹時におこなう。
長い場合、120分かかる。
従って、朝食まで随分時間がある 6:00開始なのである。
安静臥床でおこなう。
①生理食塩水で点滴して、ルートを確保
②採血
③三方活栓で切り替えて、4種のホルモンを同時に静脈に注入
④30分、60分、90分、120分後のように数回に分けて採血
僕の場合は、7回の採血だった。
このように長井医師が懇切丁寧に説明して
くれるわけがない。
緊急手術で徹夜だったらしい彼は、かなり憔悴していて、採血すらおぼつかない。
これは、病院内で医療データベースを見せてもらいしらべた。
自分が受けた検査を、自ら事細かにしらべる患者も珍しいだろう。
採血が終わって、少し遅い朝食。
オムレツとパン。
きちんと玉子の味がした。
手術後6日めにして、徐々に味覚が戻りつつある。
ようやく牛乳がヨーグルトに替わっていた。
こうなると欲が出る。
日勤の石川さんにコーヒー飲用とパソコン使用の許可を求める。
「先生に聞いておきます」
堂下総合病院では、パソコン使用は許可制。
キーを叩く音が周囲に迷惑だからではなく、患者は病院に療養に来ているから(仕事に来ているのではない)という理由だ。
9:45
トイレを済ませて廊下を歩いていると、僕の部屋の方から牧野医師がやって来る。
あれ、回診だったのかな?
彼の表情に焦りが見える。
すいません、トイレに行っていました。
と言いながら、部屋に戻ると、そこには白衣の集団が部屋を埋めていた。
「どうですか?」
知らないおじさんが僕に話しかける。
牧野医師がそのおじさんに、ほらあの患者ですといったことを告げている。
その恭しい態度を見ると、どうみてもそれは上役に接するそれだ。
こちらもサラリーマンが長いから、すぐに状況を察した。
さらに、おじさんが続ける。
「腫瘍がきれいに取れていたから、見え方とかどうですか?明るくなったとか」
「腫瘍がきれいに取れていたから、見え方とかどうですか?明るくなったとか」
いやぁ、まだよくわかりません。そんな気もしますけど・・
正確を期した僕の受け答えに、牧野医師の顔が曇った。
もっとリップサービスすればよかったかな。
牧野医師はすばらしい、ボーナス上げてくださいとか
まぁ、ここではそういう冗談は通じないだろうけど。
財前教授で有名な、いわゆるこれが「教授回診」である。
ホントにあるんだ。テレビの中だけかと思っていた。
しかも、テレビそのまま、ぞろぞろと医師や研修医が着いてまわる。
テレビニュースを見ていると、政治経済科学技術分野では"教授"の肩書きが安売りされているように感じられるが、医療分野では教授はとても狭き門らしい。
そこに取り巻く人達の間では、毀誉褒貶も大変なのだろう。
若くして医者への夢に頓挫した父は、僕が医者になってくれればと願っていた。
近年聞くところによると、僕は医者になる運命も見えていたらしいが、ならなくてよかったと心から思う。
だいたい、僕が医者だったら、あまり手術を受けたくない。
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