岩崎俊一さん一周忌に寄せて
今日は本棚から、この本を取り出して読もうと決めていた。
2014年12月20日
僕はこの本を書いたコピーライターが亡くなったことは知らず、みどりの窓口に行って静岡マラソン往復のぷらっとこだまを申込み、帰宅してからは手が冷たいと震え、夜に備えてペットボトルあんかを作っていた。
その逝去を知ったのは、一か月後の2015年1月20日、SALUS2月号に「謹告」として載った訃報だった。
書名は「大人の迷子たち」
おびただしい情報に振り回されて、自らが見ることで世の中を動かすことができなくなった現代の迷える大人に、古の安らぎを想起させるエッセイである。
東急電鉄沿線のフリーペーパー「SALUS(さるーす)」に2010年から2014年まで連載されていた。
その連載から47篇(その他2篇を含み49篇)を収録した単行本が廣済堂出版から出た初刷日は2014年10月20日。
2014年12月20日
岩崎俊一逝去
2014年12月20日
当日発刊のSALUS2015年1月号が連載の最終回となった。
SALUSの発売日である20
初刷日の20
そして月命日となる20
その数字に不思議な縁起を感じる。
■岩崎俊一によるコピーの代表作
21世紀に間にあいました。 トヨタ自動車
年賀状は、贈り物だと思う。 日本郵便
■岩崎俊一の略歴
1947年7月7日
京都府京都市で生まれる。
1970年
同志社大学卒業
2009年7月7日
著書「幸福を見つめるコピー」東急エージェンシー
コピー200本とその背景エッセイを収録。
単行本は「大人の迷子たち」と合わせて生涯2冊。
2010年5月号
東急ストア、東急電鉄沿線で配布しているフリーペーパー「SALUS」に「大人の迷子たち」というエッセイを連載開始。
2014年10月20日
「大人の迷子たち」出版
2014年12月20日
逝去 享年67歳
同日発刊されたSALUS2015年1月号の「大人の迷子たち」が最後の連載。
そこで、岩崎俊一はこうエッセイを結んでいる。
「昭和30年代と平成20年代の両方を知る人生。僕が書き残すべきことはとても多いと思っている」
謹告から一か月後の2015年2月20日
SALUS2015年3月号では、跡形もなく「大人の迷子たち」は消えていた。
しかし、そこに消しゴムで消しても消えない残像がある。
SALUSは20日に東急沿線に置かれると、数日で消えてしまう。
いつまでも残り続けているフリーペーパーと較べて、それだけ質が高く、読まれているということだ。
毎月、20日になると東急ストアに行く。
入院していてもらい損なった7月号を除いて、毎号手にしている。
いつも中綴じの中間にさしかかり、ページが戻ろうとする手応えがなくなった頃、その残像がみえる。
かつて「大人の迷子たち」があった場所。
寂しい。
でも今こうして、彼の書いた文章が手元にある。
生前、お会いしたことはないし、会うことも叶わなかっただろう。
亡くなったという事実は活字として存在したが、今こうして目の前にある活字は、活き活きと僕に語りかける。
ずっとあなたを忘れない。
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