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2016年1月 2日 (土)

あなたは友だちを犯罪被害者の会へ推薦していないか?

一歩踏み出せば誰もがヒーローさ
もしそれが誰かの罠だとしてもだ
そう歌ったのは若き日の佐野元春

佐野元春「君をさがしている」
2nd album「Heartbeat」収録

そして今
一歩踏み出せば誰もがアンタイヒーローだ
もしそれが誰かの罠だとしたら

anti-hero 反英雄


現代人は、毎日、不祥事の張本人になる機会に恵まれている。
インターネットがない時代ならば、新聞記者の興味をそそるようなリアルの犯罪を犯さなければ、なかなかそうはなれなかった。

不祥事で有名になるためには、それなりに用意周到な準備期間を経て、しっかりとそれをやり遂げる根気が必要だし、当然ながらそこには"悪意"が必要だった。
ところが、今は誰もがアンタイヒーローになれる。
誰かの罠に乗っかるだけで、いとも簡単に。


次に挙げる2つは、インターネットに参加してメールアカウントを持っていれば、日々、罠に遭遇できる。

【1】フィッシングメール
phishing mail
銀行やクレジット会社を装い、個人の金融情報を聞き出す手法。

元々は「fishing」(魚釣り)になぞらえていたが、手口が巧妙化(sophisticated)したことで、phishing と表記されるようになった。

実在組織を詐称したメールアドレスから個人に対して「懸賞に当たったので本人確認の情報が必要である」といった旨のメールを送る。
そこにはフィッシングサイトのアドレスが書かれている。
そこで待っているのは公式サイトを真似た本物同然のウェブサイト。
そこに金融情報(クレジットカード番号、ID、パスワード)を記入させて騙し取る。

この手口は金融情報に限らない。
一般的な商品勧誘の形をとることが多い。

「ハゲが治る」
「記憶力がよくなる」
「かんたんに儲かる」

商品・サービスに興味を持ったら、メールに書いてあるURLをクリックする。
そうすることにより、あなたのアドレスを「存在証明」したことになる。
言い換えると「これは詐欺に引っかかりやすい候補者のメールです。今後の攻撃をよろしくお願いします」という被害者リストの申込みをしたことになるのである。


自分だけが申し込むのならばよいが、フィッシングサイトでウィルス感染した場合、メールソフトの「アドレス帳」「連絡先」に入っている会社と個人の知人のアドレスも「詐欺にひっかかりやすい人の友だちです。ご紹介します」と紹介キャンペーンに協力してしまう。


【2】悪意のない操作ミス

メールソフトには「BCC」という機能がある。
これを使うと、手軽に多数のアドレスに一斉送信できる。

操作方法
メールアドレスをセミコロン「;」でつなぐ。
【例】アドレスA;アドレスB;アドレスC
それを[BCC]欄に貼り付ける。


ところが、これを誤って「TO」に入れてしまう事案が後を絶たない。

【 過去の事案 】
時期
発信者 漏洩したアドレス

2008年4月15日
内閣府 「国政モニター」の登録者122人

2015年3月3日
横浜マラソン事務局 スポーツボランティアリーダー114人

2015年3月13日
川崎市幸区 「さいわいテクノ塾」落選者122人

2015年7月29日
神戸市「ひょうご産業活性化センター」 セミナーを受講する各企業担当者250人

2015年8月26日
兵庫県都市政策課 施設のバリアフリー化調査 物販店や飲食店、病院などの担当者434人

2015年9月4日
キングレコード 「ももいろクローバーZ」のライブ当選者934人

2015年11月27日
神戸市 路上喫煙防止を呼びかける啓発活動や清掃活動に参加するボランティア39人

2015年12月11日
北九州市消防局 聴覚・言語障害者向けの119番メール通報システムがメンテナンスで使えなくなるという予告 登録者・市職員118件

2015年12月21日
2020年東京五輪の組織委員会 旧エンブレムに応募したデザイナー100人

この中では、ももクロ事案の934人が群を抜いて多い。
紅白落選の理由について諸説が詮索されているが、しらべるはこれが理由ではないかと推察している。


「BCCにて失礼します」
という書き出しで送りならが、全部「TO」に入っていたという事案もあった。



同窓会のお知らせを送ってくる人には、BCCで送ることさえ知らない人もいる。
全員を「TO」に入れて来て、何も悪びれていない。

DMや電話勧誘などのアナログな攻撃にしか使えない卒業アルバムと違い、メールはサイバー犯罪に幅広く活用できる。
況してや、数十年も会っていない同窓生にアドレスを公開されたい人ばかりではないのである。
犯罪はリアルからサイバーへ移っている。

なんの罪の意識もなく、友を被害者の会へ送り込んでいる人たちには、早く目覚めてもらいたい。

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