周囲から漏れ伝わる自分の退院
手術後9日め
この日の三食メニュー
朝 焼き鯖
昼 焼鳥
夜 鮭煮付け
相変わらず、魚率が高い。
リハビリがてら、日曜日の病院内を散歩。
しばし陽の当たる廊下で、初夏の強い日射しで日光浴。
外来がないため、外来フロアは人っ子1人いない。
時々、病院スタッフが通り過ぎる程度だ。
一方、日曜日ということで、談話室は見舞客で満員御礼。
車いすに乗った学生に、5人連れの見舞客。
そのうちの1人がタブレットを取り出して、収録してきた友だちのメッセージを流す。
そして、お誕生日席に座った患者の話に、誰もが黙って耳を傾けている。
彼らにとって、お見舞もまた繋がりを確認する一大イベントなのだ。
検査もなく外来に呼ばれることもない。
午後は何をしようか・・
明日はまた慌ただしくなりそうだから、ゆっくりすごそう。
そうして、溜まっていた数冊の本を読み終えた。
鼻に入れている「電子線滅菌済テマカットカップ入り綿球S」に、ほとんど血が付かなくなってきた。
もう入れている意味はなくなっている。
手術後10日め
8:10
久しぶりに平原さんがきて採血。
この結果次第で、退院が確定する。
「千葉さん30日?」
「用意されてないけど」
廊下から看護師どうしの会話が聞こえる。
できれば、患者に聞こえないようナースセンターで話して欲しい。
後で思えば「用意されていない」の主語は翌日の昼食。
この時点で、退院が確定していたのだろう。
10:00
「千葉さん、退院処方に変わりました」
再び、平原さんが薬の袋をもってきた。
退院後にのむ薬を、退院間近にもらうことをこういうらしい。
退院後にのむ薬を、退院間近にもらうことをこういうらしい。
10:20
予約しておいた耳鼻科に呼ばれる。
「まだあれはありますが、退院ですよね?あとはお近くの耳鼻科でお掃除してもらってください。お手紙(紹介状)は退院時にお渡しする書類に入っていますよ」
「あれ」がなんだかはわからないが、人はだいたいこのような調子で話しているものだ。
きゅっきゅっと鼻の奥に溜まったものを吸引。
最後に綿球を詰める。綿球を詰めてもらうと、まだ「処置中」という感じがして嬉しい。
耳鼻科から戻るのを待ってましたとばかりに、今日の血圧測定。
看護師のえびのさんに、血圧ってどういう意味があるのですか?と尋ねてみる。
「血圧は血管の収縮を見るもので、高いと血管がボロボロ、低すぎると血流が悪いということになります。下が50とかだと脳に血が行きづらくてやばいですね」
百科事典に載っているような回答ではなく、素人にとってもわかりやすい例えと言葉だ。
「アマチュアはものごを複雑にするプロこそがものごとをシンプルにできる」
僕の座右の銘にぴたりとはまる、解説が気に入った。
つづいて、クラークが入院・手術費用の支払いについて説明に来てくれた。
看護師の誰もが「クラーク」と呼んでいるのは、病院における事務員のことらしい。
患者にとっては「事務員」のほうがわかりやすいと思うが、本人は「クラーク」の方が大志が抱けるのだろう。
作業員や電話当番のことを「オペレーター」というようなものだ。
日本では、アドミな仕事(基礎的な事務作業)をしている役割をカタカナで呼称することが多い。
昼ご飯と共にやってきたケイちゃん。
ひょうちゃんはご機嫌。
歯を磨き終えると口笛を吹き、つづいて「♪長崎は今日も雨だった~」
となりの部屋から聞こえてくる「なんでそうなんだ」という叫び。
廊下には、自失したうつろな目で徘徊する老人。
「**さん、そっちは女性病棟ですよ」
と看護師に呼び止められている。
「**さん、そっちは女性病棟ですよ」
と看護師に呼び止められている。
見慣れてしまった病院の日常が、恐いと感じた。退院が目の前になり、日常にスイッチが切り替わろうとしているのかも知れない。
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