定年退職を迎える人がやらなくてよいこと
「立つ鳥跡を濁さず」
立ち去る者は、あとが見苦しくないようにすべきであるという諺で、退き際が潔いことのたとえである。
(「飛ぶ鳥跡を濁さず」も同意)
日本では大半の企業が60歳定年制度を敷いており、59歳の人に対して、後輩は退き際のよい振る舞いを求めている。
「旅の恥は掻き捨て」とばかりに、好き放題な振る舞いは見たくないものだ。
サラリーマンとして、ラスト1年を切ったら。
まず、考えなければならないのは「他人の仕事の邪魔をしない」ということだ。
手に職を持つ人に多いのが「作り話トラップ」
限りなく可能性がゼロに近いことを、あたかも必ず起こることのように話すのが「作り話トラップ」
専門知識がある人だけに、周囲があからさまに反論できないのをいいことに好き放題。
ずっと、後輩は苦々しく思ってきた。
59歳のスタッフ職は、もう八面六臂の活躍を期待されてはいない。
他人の邪魔をしたり、不愉快な思いをさせるくらいならば、窓際に椅子を置いて、お昼寝していた方がよい。
そういう人が余生をのんびり過ごしていても、周りは咎めないものだ。
いよいよ、出勤最終日。
「実は、今日で卒業なんだ」
と言って、あちこちの部署を巡回する人がいる。
いつもは滅多に顔を見せない「59歳」のサトウさん。
優秀なミッドフィールダーのように、あたりをきょろきょろ見回しながら歩いてくる。
「挨拶できる人はいないかな?」と探しているのだ。
息のかかった知り合いを見つけると、間もなく定年退職であり、有休消化に入るから、出社は今日で最後だという説明を始める。
隙を与えると、調子にのって「君と僕との思い出」を語り始めることもある。
人は誰もが基本的に優しいので、去りゆく人をむち打つ人はいない。
「え゛そうなんですかっ」
少し大げさに、その別れを惜しんでみせる。
でも、日頃から音信が途絶えている人に、それほどシンパシーがあるわけがない。
そもそも、挨拶に回る必要はないのだ。
本当に惜しまれている人は違う。
「サトウさん、今日までらしいよ。今7階に行けば会えるよ」
そんなクチコミが伝わり、相手の方からお別れの挨拶に来る。
誰も来てくれないから、こっちから来ましたというのは、見ていてとてもわびしい。
本人としても、挨拶に行ったのに、愛想のない顔を見せられたり、目の前で逃げられたら辛いだろう。
職場の朝礼などで、簡単な挨拶をさせてもらえたら、それで十分だと思う。
後輩のためを思うならば、仕事の邪魔をしないことだ。
あれ?サトウさんいつの間に居なくなったの?
お別れくらい言いたかったな。
それくらいで、ちょうどいいのである。
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