3月から春 社会通念から「暦のうえでは」へ
暦の上では春になりました。
とよく言いますが、3月1日現在、この言い方で合っているのでしょうか。
ニュース番組のお天気コーナーなどで「暦の上では…」と言われるのは「二十四節気」による区分です。
それによると、春は「立春」から立夏の前日まで。
今年の立春は2月8日だったので、現在は既に春に入って3週間が過ぎているということになります。
確かに今年の場合は、そう言われても違和感がないですよね。
「春分の日」が冬と春を分けているという人もいます。
春分日(天文観測により春分が起こるとされる日)はここ数年、3月20日か3月21日のいずれか。
「3月19日までが冬だ」と言われると、さすがに違和感を覚える人のほうが多いでしょう。
多くの人が子供の頃から「3月から春」と覚えていると思います。
それは概ね「体感」によるものでした。
このように明文化された定義はないものの、誰もがそう考えているという物事を「社会通念」と呼びます。
「社会通念」
社会一般で受け入れられている常識または見解。
(広辞苑より)
それでは「3月から5月は春という定義」はないのかというと、あります。
気象学では3月~5月が春とされており、気象庁は以下のように区分しています。
春:3月~5月
夏:6月~8月
秋:9月~11月
冬:12月~2月
日本能率協会が発売するNOLTYカレンダー(旧:能率カレンダー)C211では、季節ごとに月表示の背景色が変わります。
2月までの背景色は臙脂。
3月~5月は緑です。
冬が前年に1ヶ月、翌年に2ヶ月と「2年」にまたがっているのが、知的好奇心をかき立てていると思います。
行政の四半期「4月~6月が春」に倣うと、季節が年を越すことはありません。
しかし実際には、12月には寒くなり、1月はそれが続き、2月には「寒の戻り」があるというのが皆さんの「体感」ではないでしょうか。
四半期の区切りと季節の区切りがずれているところに、生きている実感があると思います。
手紙の書き出しは、3月が「早春の候」4月が「陽春の候」5月が「新緑の候」です。
1987ビジネスマン情報ハンドブック PHP より
かつて、得意先にお手紙を出す時はいつも、この手帖を見て「なるほど、大人はそう言うのか」と思いながら書き写していました。
手紙がeメールに移行した今となっては、誰もが「いつも大変お世話になります」「おつかれさまです」と書き出すので、季節感を言葉で確認する機会が減りましたね。
地球温暖化(二酸化炭素、フロンなどの温室効果ガスの排出が増えて、気温が上がること)により、かつて「社会通念」で移り変わっていた季節は、事実上「暦の上では」に移行しつつあるようです。
立春から2月末までは、体感は春なのだけれど、頭がついてこない時期。
今日3月1日から、心身ともに「春」に切り替わる時期がやってきたということになります。
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