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2016年3月 8日 (火)

博多が人をひきつける理由(二)

全国的には「博多」とは、福岡県の県庁所在地「福岡市」の通称。
地元では那珂川から東側、博多駅寄りの通称である。


東京では、愛知県という地域を「名古屋」と呼ぶことが多い。
「名古屋は元気だよね」という人はいても「愛知は元気だよね」という人は居ない。
「名古屋市」という実在の地名が、愛知の代名詞となっている。

一方「博多」は実在する地名であるが、それは区画としての町名レベルであり、行政の市町村ではない。
それでも人は「博多」を名乗る。
博多の出身者は「生まれは博多です」と言い、かつて住んだ者は「博多に10年住んでいました」というように、地域の代名詞として使うことが多い。
そこには「博多」に住んだ誇らしさがにじんでいる。


かつて住んでいた「名古屋」では、住んでいる人たちが自ら「名古屋は大いなる田舎」と表現していた。
スケールは大きい街だが、そこに住んでいる人は「すました都会人」ではないという意味だったと思う。
誰もが「食べ物が不味い」「人がけち」と自虐的だったが、それでも卑下はしていなかった。


名古屋の美味いものは?と聞かれたら、すぐに「手羽先」「味噌煮込みうどん」「味噌かつ」「櫃まぶし」(人によっては「あんかけスパ」)と指が折れる。
一方、博多はそういうものは少ない。それでも博多の特長を挙げる人が「食べ物が美味しい」という。
それは、素材が新鮮で、何を食べても美味しいからだ。


転勤族のサラリーマンが赴任した先で、終の棲家を求めることがある。
その代表的な土地は「札幌」と「仙台」
何の縁もないのに、なぜ?と尋ねると、奥さんが強く望んだという声が異口同音に聞かれる。
その後も転勤は続き、旦那は単身赴任。
奥さんと子どもが、奥さんにとって縁のない土地で暮らしている。
この2つの土地に住んだことがないので、その理由はわからない。
ただ、女性からみて強く惹きつけられる要素があることは間違いない。

一方、転勤族が「博多」で家を買ったという話は聞かない。
それは、博多の魅力を体験した者にとっては不思議なことだ。



「博多」は、街のスケールは三大都市圏に較べて小振り。
だが、その小振りな街のあちこちに、他のどこの街にもない空気があり、人を惹きつける。

その理由をデータで証明はできないが、こう推察している。
それは「博多美人」と言われる女性たちのセンスの良さ、気品、強さと弱さを併せ持つ柔らかさ。
それを支えている「博多モン」と呼ばれる男衆の剛気。
そのバランスにあると思う。

惹きつけられるのは男女を問わない。
それを感じるのは、同じ九州という根っこ、血筋にある人なのかも知れない。


今から数十年前、いつかこの街を去らなければいけないことがわかっていた。
柳橋の市場から城南線を流れるクルマをみて、今この瞬間を羨ましく思う未来がいずれ訪れるのだろう。
と考えていた。


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