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2016年4月28日 (木)

15足を売り尽くす スニーカーのガレージセール

TOTAL MAX SCとお別れする日は、ある日突然やってきた。

TOTAL MAX SCを235%のプレ値で買ってから1年4ヶ月。
足が痛くなるため「履く靴」から「飾る靴」に格下げされていた。

通常、ナイキの靴とのお別れは九分九厘「加水分解」による。
「加水分解」という言葉は、靴コレクターで知らない人はいないが、そうでない人は誰も知らない。
靴のミッドソールが湿気をためて、ぼろぼろに分解することである。
加水分解の時期は保管している環境が、多湿か否か。吸湿剤を入れていたか。
頻度高く履いていたかなどによるが、同一環境でも靴によって違う。
早い場合は6年くらいで分解したこともあるし、10年以上保つこともある。

1999年春、TOTAL MAX SCは購入して2年、発売からでも3年程度。
加水分解にはまだ早い。
それでも別れなければならなかったのは、引っ越しにより靴置き場が半分になることがわかったからだ。

当時、西川金太郎(馬喰町にあったディスプレイ専門店)で用立てた「靴ラック」にはヨコ3×タテ10の30足が飾られていた。
だが新居にはラックをフル設置する場所がなく、タンスと天井の隙間に辛うじて半分を設えるのが精一杯。
15足を処分しなければならない。

当時、ヤフオクが産声を上げていたものの、コトは急を要する。
そこで、僕は15足の靴をクルマに積んで行商に出た。
行き先は職場である。

数人に事情を話すと、異動を知っている仲間が続々と駐車場に集まってきた。
文字通りのガレージセール。

当時、ブームは終わりを告げていたが、コレクター以外の人はいわゆる「スニーカーブーム」の話は知っていても、所有はしていなかった。

いつもは、僕の話を聞くだけだった彼ら。
興味深そうに箱を開けて、品定めを始めた。
別に売るつもりはなかったが、コレクターの性で箱を捨てずにとっておいたのが功を奏した。

値段はその場で決めていく
今日じゅうに処分するためには 駆け引きしている場合ではない

ZP9701 asics「ジパング」の異様なアッパーに目を見張っていたS君
二年前、正価12,800円で買った靴は3,000円にした

僕には大きかった AIR ZOOM TURF「シューマッハモデル」は、大柄のBさんが見ている
それは超人気モデルなんですよ
「かっこいいねこれ、いくら?」
プレ値店で27,800円で買った靴は 5,000円で売れた

正価18,500円で買ったリーボックPUMP FURY(紫)はKさんに3,000円で
1997年に正価19,970円の1割引で買ったPUMP FURY「香港返還モデル」はT君に7,000円
1割引の18,000円で買ったシューマッハ「ZOOM SCHU」もT君
ただし、この靴はクルマ運転用としてとても貴重だったので、これだけは残せばよかったとしばらく後悔していた

11,000円に対してプレ値の14,800円で買ったAIR LAVADOME(orange)はM君に5,000円
リーボックDMX RUNは、元々在庫たたき売りの5,000円で買ったものだったのでY君に2,000円

待ったなしの在庫処分市ゆえ、第一声から掛け値なしの安価をつける
事実、中古市場からしても破格な値段だ
そういう相場は知らない彼らだが、異動する僕への餞別代わりと思ったのか、誰一人値切ることもなく「買う!」と即決
すぐに財布からお金を出してくれた

つづく

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