売れてはいけない通販広告のトータルマックス
TOTAL MAX SCを知ったのは、当時、複数の月刊誌が出ていた「コレクター雑誌」の通販広告だった。
Boon、Cool、GETON!、ブレイクギア、そして後にJACK(1997年6月号創刊)
これらの誌面を書店で見定めて、とびきりのホットニュースが出ている雑誌を買っていた。
世はまさに(と言ってもコレクターの世界に限られるが)「ナイキブーム」と「G-SHOCKブーム」が並行していた時期。
誌面の主軸はそれらの新製品、あるいはデッドストックが何処で買えるかと言うことだった。
さてTOTAL MAX SC。どの広告を見ても、4万円を切って掲載している店はない。
「NOMO MAX」は15,000円→28,000円のプレ値で買ったが、TOTAL MAX SCは元値の3倍を超えている。
さすがにそれに手を出すことは、自我が許さない。
NOMO MAXを買う時に巡回した店をくまなく回ったが、どこにもない。
そんなある日、郊外型スポーツ店「スポーツオーソリティ」でTOTAL MAX SCの「抽選販売」を受け付けていた。
ここはプレ値で売る店ではないので、当たれば正価で買うことができる。
応募用紙に記入して応募箱に投函した。
当時は同時ブームだった「G-SHOCK」ではこのような「抽選販売」があちこちで行われていた。
後にG-SHOCKの抽選には何度か応募することになるが、靴の抽選に参加したのは、これが最初で最後となった。
1997年、インターネットが普及し始めていたが、まだヤフオクはない。
ニフティのコレクターフォーラムでは、販売情報を知ることができたが、とっておきの情報は公の場に書いたりはしない。
後には、ネットを通じて仲良くなった人どうしで情報や、モノを融通しあうということもあったが、この時はまだそんな仲間もいない。
通販広告で出会ってから6日め。
ニフティの「売ります・買います」掲示板の件名にTOTAL MAX SCを見つけた。
そこは「売ります」と「買います」が混在している掲示板。
ニフティの会員ならば、誰もが閲覧することができた。
TOTAL MAX SC
38,000円
US10(28.0cm)
安い・・(いや、安くないぞ^^;)
正価の2.5倍だというのに、通販広告相場を見ていた僕には安く見えたのだ。
あまりの欲しさに。
今ならば、4万~5万円台というプレ値では、誰も手を出さなかったとわかる。
「並行輸入品」だから大量仕入れ品ではない。
恐らく1点。あっても2点。
サイズという概念がない「G-SHOCK」などとは違い、靴には「サイズ」という厄介者がある。
いくら欲しくても、ジャストサイズ27cmの人が29cmを買ったりはしない。
しかも、時計と違って、靴は劣化が速い。
短いスパンで売り切ってしまわねばならない。
雑誌広告に出して、虎の子の1点があっさり売れてしまっては、商売としてうまみがない。
プレ値のTOTAL MAX SCを撒き餌にして、寄ってきた客に他のモノを買ってもらう。
そのために、雑誌に載せるプレ値は「すぐ売れてしまう値段」ではいけないのだ。
掲示板を見た僕は、すぐに売り主にメールを送った。
つづく
つづく
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