えいやあ
「えいやあではダメですよ」
経営コンサルティングにやってきたサトウ氏が、僕らに向かって言う。
えいやあって何ですか?
とは誰も聞かない。
僕らは真摯な紳士の集団だからだ。
聞かなくても、およそのニュアンスはわかるし、そもそも、たいした意味じゃないことは、サトウさんのここまでの話しっぷりを見ていればわかる。
「えいやあ」という言葉を初めて聞いたのは20年ほど前。
それはシステム部に所属するタナカさんの口癖だった。
「あとはえいやあでやるしかないですね」
というのが、彼の決まり文句。
そこまで理詰めで来たのに、最後に彼がその台詞を言うと、吉本のコントで全員がゆるくズッコケるような空気が流れた。
彼ひとりが笑っていて、あとの誰もが「またか」という途方に暮れた呆れ顔を並べていた。
えいやあの意味を「しらべる」ではこう定義している。
「およその目算で」という意味の擬態語
「およその目算でことを進める」という趣旨を表す時に使われる。
現在、タナカさんは既に60歳を超えた人。
これまでに知っている「えいやあ」という言葉の使い手は、全員60代以上だ。
僕の経験でいえば、1956年以前生まれで、コンピューターシステムの仕事に携わったことがある人ということになる。
経営コンサルティングにやってきたサトウ氏の話は続いている。
「からすのゴンベじゃないけどね」
からすのゴンベ??
今度のは本当に、心からわからない。
思わずそれってどういう意味なんですか?と聞きたくなったが、思いとどまった。
思わずそれってどういう意味なんですか?と聞きたくなったが、思いとどまった。
あとでネットでしらべれば、わかるだろう。
しかし、Google先生も「からすのゴンベ」はご存じないようだ。
「権兵衛が種まきゃ烏がほじくる」だと「無駄骨のたとえ」という回答があった。
(コトバンク)
そんな含蓄のある言葉だったら、もう少し丁寧に教えてくれればよかったのに。
「えいやあ」とか「からすのゴンベ」とか、一定の年代にしかわからない言葉を使い、1時間あれば済むような内容を「じっくり2時間は話したい」などと言って、僕らの時間を奪う。
この年寄りの暇つぶしみたいなコンサルを断れないのかな?
そんなことばかり考えていたこともあって、年寄りゴンベのコンサルはさっぱり頭に入らなかった。
僕があの人の年齢になった時、あぁはなりたくないものだ。
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