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2016年7月13日 (水)

ロナルドのいなくなったユーロ決勝

WOWOW決勝の生中継は現地に実況アナウンサーを置いている。
やはり、遠く離れた日本のスタジオからの実況と比べると、感情の入り方が違うのか、言葉の選び方、抑揚に臨場感があふれている。
解説者は野口幸司。「だよね」解説のあの人ではないから、安心して観ることができる。


<前半>
ロナルドが削られた1分後、フランスに最初の決定機。
9分 グリーズマン(7)がブルース・リーのように空中で体を捻るヘッド。パトリシオがビッグセーブ。

15分 ジョアン・マリオ(10)がロナルドに駆け寄り「大丈夫なのか?」と心配そうに尋ねる。そして、1分後、見たくはなかった光景が眼前に広がる。

16分 左脚を引きずりながらプレーを続けていたロナルドが座り込んでしまった。
「あ~ダメなんですか?これは信じられない」
実況アナウンサーは、まるで地球が宇宙人に征服されることが確定したかのような、切なく悲しい声で話す。

ロナルドをあざ笑うかのように一匹の蛾がロナルドに止まる。
自分で歩いて外に出たロナルドにチームスタッフが駆け寄り、テーピングを始める。テーピングの威力は絶大である。アナウンサーは「バンデージ」と言っていたが、ちょっと古いと思う。
内側に「モーラステープ」でも貼れば、歩けない人でも歩いてしまう。現代医学に期待しながら10人で戦うポルトガル。

19分 ロナルドが走って戻る。そう来なくちゃロナルド。クロスに走り込むロナルド、しかし満足に跳べない。ここで自らに見切りをつけた。

22分 ベンチに手を挙げて交代のサイン。フェルナンド・サントス監督は「代わるか?」とぐるぐる手を回すトラベリングのサインで意向を確認。
ロナルドはキャプテンマークのマジックテープを剥がして地面にたたきつける。でもすぐに思い直して拾う。
自分の戦いは終わっても、チームの戦いが続くことに、すぐ思いをはせたのだろう。

この瞬間、ポルトガルファンはこの世から大切な何かが失われた気分になる。
主審がジェスチャーで担架を要請。
FWの後任はクアレスマ(20) キャプテンはナニ(17)
幸いなのは、レッドカードの退場ではなく負傷退場であること。引き続き11人対11人で戦えることだけが救いだ。

24分 担架で運ばれていくロナルド。左手で目頭を押さえる。僕らは言葉を失い、思わず口を押さえる。


ロナルドのいるポルトガルの優勝が見たかった。
これで負けても言い訳が立つな・・
という心の声を戒めて、取り消す。
終わったからこうして書いているが、ものごとが動いている時に言葉にしてはいけないのだ。

そこから「ポルトガルの優勝が見たい」に気持ちを移行して集中するには時間がかかった。
恐らくポルトガルの選手たちも集中を欠いていただろう。
しかし、フランスのメンバーにも「なんだか、悪いことしちゃったな」という空気が感じられる。

25分 右サイドに入ったクアレスマは、その貫禄でボールをキープしている。彼にはどことなく、ならず者の怖さが漂う。

33分 ムサ・シソコ(18)の強烈なシュートはパトリシオが弾く。
あと少し左に打たれていたら、ここも「1点」の場面だった。
今日はパトリシオが当たっている。W杯2006のリカルドを見るようだ。

34分 セドリックがファール イエローカード

ロナルドの顔に止まっていた蛾の仲間が、しきりにテレビカメラの周りを舞っている。地元テレビ局は虫コナーズの設置を忘れたようだ。

38分 ジョゼ・フォンテのヘディングシュートが大きく枠の上へ。

43分 フィーゴが欠伸をしている。さすがに手は口に当てていたが。デコは来ていないのだろうか。ベイルはロナルドを心配するtweetをしていたが、ゲーム中も終了後もデコのtweetは見られなかった。

additional time2分

47分 マリオのクロスは今日初めていい角度でGK前に入ったが、ナニは「なに?」という感じでニュアンスが合わず、つっこみきれなかった。


ロナルドを失った後、よく守りペースをつかんだ。
それをグリーズマンは試合後に「警備員の行進みたいだ」と言った。よほど、ひと月前レアル・マドリーに負けた(2015-16CL決勝)ことを引きずっているのだろう。
<前半>を0-0で終えるのは悪くない。
だからと言って良くもない。
まだ、好機はフランスにしか訪れていない。


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