ポルトガル優勝の軌跡
派手なフェイント、無駄なパスワーク、強引なドリブル
これらは、ポルトガルサッカーを象徴する3つの特徴である。
かつてフィーゴが強引なドリブルで相手DFを置き去りにして喝采を浴びたが、ロナルドは代表ではほとんどそれをしない。
2016ユーロモデルのポルトガルチームからは、フェイントもパスも影を潜めたが、最後に勝負を決めたのはポルトガル伝統「強引なドリブル」が相手DFを置き去りにしてのシュートだった。
フェルナンド・サントス監督が胴上げされる。
欧州でも胴上げってあるんだ・・
2回、3回
NPBのように「原辰徳は8」とか「ウチはそれを超える10」とか、胴上げにおかしな意味を込める人たちではないので、あっさりとカタチが崩れて終わった。
次々にコーチや選手が胴上げされると言うこともない。
この優勝はフェルナンド・サントス監督のおかげだ。
全23人中控えGK2人を除く21人全員が出場
全試合スタメンはロナルド、ナニ、GKパトリシオだけ。
全試合フル出場は、唯一続けていたロナルドが負傷退場したためゼロだった。
全6試合→7試合に増えた過密日程のユーロで、常にフレッシュな選手を盤面に置いた。
選手が替わるということは、その品質が一定でなければならない。
それができたのは監督の「統制」だ。
DFはペナルティエリア内では必ず後ろ手を組んでいた。
両手を挙げたり浮かせたりして、PK・FKを取られて失点した「強豪国」とは対照的だった。
戦術もめまぐるしく変わったが「信頼」で結ばれた選手たちは、指示通りに動いていた。
予選の勝利はすべて一点差
本戦も必要以上の大勝ちは一切なし
タイトロープは落ちれば終わりだが、そこを落ちない統制がフェルナンド・サントス監督の真骨頂である。
グループリーグから少しずつ調子を上げていくチームには、確かに「雰囲気」があった。
これは奇跡の優勝ではなく、ポルトガル優勝の軌跡である。
大会後、ウクライナの監督に就任したアンドリー・シェフチェンコはこう語っている。
「私が重要視するのは規律、組織、バランス、献身性、そしてモチベーションだ」
そのすべてが今大会のポルトガルにあった。
これまでフットボールの「潮流」はプレースタイル、戦術だけで語られていた。
そこにプレー以外の側面を加味したものが「ポルトガル・スタイル」
地味過ぎてメディア好みではないが、少なくとも各国の代表監督は、今そこに向かって頭を絞り始めているだろう。
ポルトガルはユーロ史上「開催国として出場した決勝で敗れた唯一のチーム」という不名誉を囲ってきた。これからは、それをフランスと共有することになった。
またいつの日か、今度はフランスがどこかのユーロで開催国と決勝を戦い、自らの仲間を増やすことがあるかも知れない。
朝6:58 WOWOWの実況も終わってしまい、パソコンの前でひとりぼっちになった。
世の中は週明けの仕事が動き始めている。
今日も勝利の余韻に浸ることを見越し、Semi Finalを勝ち上がった朝に、この日の休みを取っておいた。
WOWOWのユーロ2016テーマ「Waiting for the Moment」を「リピート」にして繰り返し聴き続ける。
どう聴いても洋楽なのだが、MAN WITH A MISSIONをしらべると日本のロックバンドのようだ。
共に喜べる仲間はここには居ないけれど、世界中のあちこちにいるポルトガルファン仲間が今この時、そしてこれからずっと幸せな時を過ごすことができるだろう。そう考えると、とても幸せな気持ちだった。
■2M(W杯、ユーロ)の勝者(2000年以降)
ユーロ2000 ベルギー・オランダ共催
フランス
2002 FIFA W杯
ブラジル
ユーロ2004 ポルトガル開催
ギリシア
2006 W杯 ドイツ開催
イタリア
ユーロ2008 スイス・オーストリア共催
スペイン
2010 W杯 南アフリカ開催
スペイン
ユーロ2012 ウクライナ・ポーランド共催
スペイン
2014 W杯 ブラジル開催
ドイツ
ユーロ2016
ポルトガル
近年ではスペインの2M3連覇があるが、それ以外に連覇したチームはない。
ユーロとW杯は2年交代。この秋にはW杯の予選が始まる。
欧州E組に入ったポルトガルの予選は 2016年9月6日、スイス戦から始まる。
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