電車で席を譲ってもらう日
公共交通機関において、優先席では「お年寄り」に席を譲らなければならない。
でも、優先席に座っているのはオンラインゲームをしている若者や、まだまだ老人とは呼べない中高年たちである。
空いていれば座っていいのだ。そこは"優先"席だから。
決してそこは「老人専用席」ではない。
でも、あまり席を譲る光景には出くわさない。
席を譲らない若者に説教するばあさんは見たことがあるが。
「優先されない側」にとってみれば、どのあたりが「優先すべき」ラインなのかがよくわからない。
いかにもサラリーマン然とした高年齢者、たとえば50台と思しきサトウさん。
この人は「優先すべき」枠には、まだ入っていないだろう。
でも、頭は禿げあがり、腹筋が弱っていて体の中心線が曲がっていて、まっすぐ立てない50台のスズキさんはどうだろうか。
それは「優先すべき」人なのかも知れないが、あまり話しかけたくない。
関わりたくないのだ。
席を譲るという行為は勇気が要る。
他の国は知らないが、日本ではそうだ。
その理由(1)
気恥ずかしい。偽善者のようで自分らしくないと自己規制がかかってしまう。
寝たふりをして気づいていないことにすれば、葛藤せずに済む。
もちろん、寝たふりをする人の中には、疲れていて自分が座り続けたいという人もいる。
その理由(2)
断る老人がいる。
席を譲ろうとしたのに「いいえ、けっこうです」と断られる。
清水の舞台から飛び降りる覚悟で、善人になろうとしたのに、崖の下にはセーフティネットが張っていなかったようなものだ。
席を譲られたら、老人は素直に従えばいいのだ。
それが年相応の振る舞いというものだ。
という考え方もあるが、断る側にも言い分があるだろう。
(A)座ったまま声をかける
立ち上がらず、座ったままで声をかける人がいる。
老人側にしてみれば「いいえ、けっこうですよ」と言いやすいシチュエーションだ。
既に立ち上がっていれば、恥をかかせたくないという気にもなるが、相手はまだ座ったままで「様子をみている」
失礼にならぬよう配慮しているのかも知れないが、断りづらくはないことだけは確かだ。
(B)意固地である
老人側の問題として「自分はまだ老人じゃない」というプライドがあるケース。
足腰を鍛えるために「電車では座らない」と決めている人もいる。
声をかける側が「おばあちゃん、座りませんか?」と言ったりすると、もうダメ。
私はあなたのおばあちゃんじゃない。馬鹿にするな!とむきになる。
さて、僕は席を譲られる日が待ち遠しい。
今のところ、まだ席を譲られたことはない。
周りが僕を「優先すべき」人と見てくれるのは、いつだろうか。
その瞬間が来たら「おぉきたか」という言葉を飲み込み、にっこり笑って「ありがとうございます」と言って座る。
それは若者だろうか、それとも躾のいい幼気な子どもだろうか。
いやぁ、人生初めてです
とか余計なことを言うと、相手から「しまった!告白病のじいさん」だったと思われそうなので、やめておく。
(言いそうで怖い)
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