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2016年9月15日 (木)

通過点

「通過点」

それを言う人によっては、とても頼もしいこともあれば、とても疎ましいこともある。


「自分の中ではまだまだ通過点。自分のレスリングはこれからさらに良いものを作っていきたいと思うし、若い世代に教わってきた技術や考え方、取り組み方も指導していきたいという気持ちもあります」

女子アスリート初、五輪4連覇をリオ五輪で達成した伊調馨。
国民栄誉賞受賞時のコメントである。

「通過点」
まだ、道半ば
その道が4年後の東京五輪に続くのか、あるいは後進に託す道なのかは明らかにしていない。

伊調馨に「通過点」と言われると嬉しい。思わず拳を握りたくなる。
できれば「五連覇」に向かう姿を見たい。
でも体のことは、端で見ている僕らにはわからない。
もうとっくに限界を超えているのならば、僕らが「夢」だ「希望」だというのはおこがましいことだ。



友達のサトウさんの職場には猿がいる。
本当の猿ではなく、仕事ができないのに手抜きが巧く「僕をもっと上手く使ってください。褒められて伸びるタイプです」と言われて手を焼いている同僚のことを、彼はその風貌が猿そっくり(いや、そのもの)であることから、侮蔑の意を込めて「猿くん」と呼んでいる。
彼がこの秋の定期異動で、他の部署に異動することになった。
本人が希望したのか、あるいは部長が見切りをつけて追い出したのか。
(よその部署から乞われる可能性はZEROらしい)
サトウさんにとって、理由などどうでもよく「やっと、これで仕事に集中できるよ」と安堵していた。

そして迎えた異動の日。
毎朝のラジオ体操の後、朝礼の冒頭で猿くんが挨拶に立った。

「え~短い間でしたが、大変お世話になりました。
●●部は僕にとって通過点だと想っています」


つ・う・か・て・んだと?
猿っお前、日本語の意味わかってんのか?
「通過点」という言葉は、既になんらかの偉業を成し遂げた人が、それでよしとせず、さらに高みを目指すという心の有り様を表すものだろうが


ノーベル賞は通過点
756号は通過点
3,000本安打は通過点
SMAP解散は通過点


お前はただ、通行人のように素通りしただけ・・
しかも、散々、他人の仕事の邪魔をして


サトウさんはもちろん朝礼では猿くんの言葉を黙って聞き、その日、僕に向かって吠えていた。

シャディは一冊の百貨店だが、
「悪口は一冊の百科事典になる」という。
(迷惑をかけてはいけないので、誰が言ったかはここでは伏せる)

自分の有り様を棚卸しするためにも、悪口は大切な習慣。
ただ、悪口にも様式美がある。
それは、聞いている側が抱腹絶倒で楽しくなることだ。


猿くんの言葉はつづく

「ここにいる皆さんにはとてもよくしてもらったし、またいつか帰って来たいと思います。部署は変わりますが、居なくなるわけではないので、また呑み会の時は声をかけてください!」

誰が"よくした"ってんだよ
猿相手にまともに向き合うのが面倒だから、バカの振りして調子を合わせてただけだろう?世間は、どんな人にも優しいんだよ。


サトウさんはそう言いつつ、ほんとに帰って来たらどうしよう。
と今からありもしない未来を空想して心配していた。

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