司会者が告別式の順番をまちがった そのとき、僕は
導師二人の読経はハーモニーを奏でて眠りを誘う。
喪主の僕でさえそうなのだから、日頃、大変な仕事をしている人、家事に追われている人の中には、実際に数分間気を失った人がいるのではないだろうか。
告別式では喪主の僕だけが導師の前に出て焼香する。
僧侶に一礼、祭壇に一礼、焼香して帰り際、会葬者に一礼。
事前に習ったとおりの手順で、そつなくこなす。
こんな時、背筋が曲がっていたり、歩きながら礼をしたりすると、いかにも素人という感じでみすぼらしい。
(別に素人でもいいのだが)
立ち止まり「止まれ」の標識でおこなう一時停止のように、完全に動作を停止して一拍。背筋を伸ばして深いお辞儀。
お辞儀の深さはBABYMETALのMOAMETAL、YUIMETALに習った。
礼儀正しさは、どんなに若い人からでも学ぶことができる。
会葬者の焼香が一巡して、鐘が連打されて読経が止まる。
ここで、想定外の事態が起きた。
司会者が弔電の紹介に移ったのだ。
事前に手渡されたメモによると
8.導師退場
9.弔電紹介
10.遺族代表あいさつ
弔電を導師に聞かせてどうするっ
と司会者にツッコム
前日のあいさつが首尾良くいっていたので、今日は自分を信じてゆったりと構えている。
さぁ、ここで導師退場
そして、僕の出番
と思ったら、予想外の展開が起きた。
「ここで遺族を代表して喪主のmotoがご挨拶いたします」
と僕が紹介されてしまったのである。
えぇ~、そりゃないだろう
だって、目の前に導師が二人たたずんでいるんだぞ。
今日は導師の講話すらないのに、僕が導師に講話してどーする!
「すみません、導師の退場が先ですよ」
などと言う僕ではない。
ここは、社内の月次打合せではないのだ。
流れのなかで、流れに沿って、役割をこなすのが喪主の役割である。
席を立ち、セッティングされたスタンドマイクの高さを1cmだけ調節する。
別にその1cmはどうでもよいのだが、これが僕が話す時のルーチンなのだろう。
昨日も今日も、無意識のうちに、マイクの高さを調節してしまう。
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