となりの県へのニット帽の旅
となりの県へのニット帽の旅
ここ数年、冬の寒い日にはいつも、僕の頭を寒さから救ってくれたニット帽が、その日旅に出た。
旅立ちの朝、スマホによると現在の気温は9度。
これはニット帽の出番だ。
およその気温でかぶって出る帽子を決める。
15度くらいあればキャップ。
12度くらいだと薄手のニット帽
10度を切ると、防寒仕様のニット帽というふうに。
その日、asicsのニット帽をかぶって家を出た。
しかし、思いの外体感温度は高く、あちこちと用事を済ませている間に、額が汗ばんでくるのを感じていた。
電車に乗ると、ちょうどその駅で降りた人の席が空いていて、そこに腰掛ける。
ニット帽を脱いで、ハンカチで額の汗をぬぐう。
頭皮が不潔になるのは、毛髪の育成によくない。
だからと言って、髪の毛をかきわけて頭皮の汗をぬぐうのは、はしたない。
電車は公共の乗り物だから。
5つ先の駅で降りるまで、ニット帽を膝に置き、Kindleで村上春樹を読み始める。
村上春樹とその版元は、数年前より旧作をKindleで売る戦略を立てた様子。
定期的にその作品が、Kindle版としてリリースされている。
過去1年だけをとってみても、これだけの作品がリリースされた。
特に10月には短編集が3作同時リリースされている。
2015年12月
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年</a>(小説)
2016年1月
ロング・グッドバイ(レイモンド チャンドラー著、村上春樹訳)
2016年2月
アンダーグラウンド</a>(ノンフィクション)
2016年7月
風の歌を聴け(小説)
1973年のピンボール(小説)
羊をめぐる冒険(小説)
2016年10月
女のいない男たち(小説)
レキシントンの幽霊(短編集)
パン屋再襲撃(短編集)
TVピープル(短編集)
既に書籍で読んだことのある本は買わないが、未読のタイトルはその都度、購入して読む。
この日は「パン屋再襲撃」に取り組んでいた。
読み始めると、すぐに僕は1970年代の村上ワールドに没頭して、いくつかの途中駅に停車したことすら覚えがない。
はっとしてアナウンスの声に耳を傾けると、間もなく目的の駅に着くところだった。
よかった
乗り過ごさずに済んだ・・・
つづく
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