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2017年1月19日 (木)

「お役所」のイメージは、すっかり変わっていた

父が逝き、母が逝き、僕は「誰かの子ども」ではなくなった。
日本は法治国家であり、法律に基づく数多くのルールで社会は成り立っている。
人はある時は法によって守られるが、ある時は法によって、雁字搦めに縛られる。

親が居なくなった後には、様々な手続きが存在する。
その中でも、最もややこしいのは相続である。


土地家屋の相続は法務局。
相談するには事前の予約が必要だった。
僕ら姉弟は約束の時間より5分早く、窓口へ行く。
すると、職員は既に待ち構えていた。

職員は僕らから最低限の要件を聞き出すと、必要な書類はこれとこれですと早口でまくし立てた。
「説明は以上です。お引き取りを」
と顔に書いてある。
もう少しいろいろと聞きたかったが、とても居づらくて、その場を辞した。

日頃は、聞いてもいないのに余計なことをたくさん話され、煩わされることが多い。ある意味、それはとても新鮮な経験だった。

アマチュアはものごを複雑にする
プロこそがものごとをシンプルにできる

その職員こそがプロなのだ。
あまりに愛想がないと言うだけで。

今回の様々な手続きでは、市役所、社会保険事務所、法務局といくつかの公的機関にお世話になったが、この唯一の例外を除いては、皆、とても親身であった。


それは、ちょっとした驚きでもあった。
「お役所」という言葉は、公務員がルールや前例にのみ頼り、融通が利かないことを揶揄する言葉として、日本中に定着している。
お役所と言えば、12時から13時の間は、完全にサービスが止まり、態度は横柄。住民の苦悩には耳も貸さず、血の通わない人たち。
ざっとこういうイメージがあったのではないか。


だが、それはもう過去のことになったようだ。
少なくとも今回、接した佐世保市職員の皆さんの印象は、違っていた。
メールで質問をしてから訪問すると、待ち構えていて応対してくれた。


住民課に着いた途端、職員から用件を聞かれて、書類を書き始めた。
2日続けて行くと
「あら、昨日も来とらしたですよね」
と声をかけてくれた。
実際には、5日続けて行くことになるのだが・・


窓口で要件を言って、係員がしらべるのを待っている間。
手持ちぶさたに窓の外を眺めていると、新卒らしき初々しい女の子がやってきて「ご用件、お聞きしていますか?」と尋ねてくれた。
えぇ、大丈夫ですよ
と即答したのだが、こんなに親切にされることは日頃ないので、涙腺がもろくなった(笑)


そして、こうした手続きを複雑にする「あの制度」について、困った問題がもちあがった時にこそ、彼らのそうしたプロ意識は最大限に発揮されるのだった。

その制度とは「戸籍制度」である。

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