マラソンを走りながら、ランナーは何を考えているのか?
僕は今、第11回東京マラソンのコース上を走っている。
マラソンを走っている時、ランナーはいったい何を考えているのか?
マラソンを走ったことがない人には想像がつかないだろうし、経験者でも克明に覚えている人はいないだろう。
42.195km、4時間、5時間といった長時間、延々とただ走るという同じことを続ける体験はそうはない。
概ねどういうことを考えているのかというと・・・
前を走っている女性がウィンドブレーカーを羽織っている。
寒いのは苦手なのかな、初マラソンで勝手がわからないのかな。
あるいはベテランで、気温が上がらないと読んだのかな。
邪魔だと思うけどな
今どれくらいのペースかな
(時計を見る前に予想して7分ちょうどくらい?)
お、6分50秒か。思ったより速いな
という時もあれば、けっこう速いつもりだったのに、手元では30秒くらい遅い時もある。
コースがカーブしていたから、GPSの誤差なのかな
ヘッドホンから流れてきた音楽
Charの「A Fair Wind」はいいな
いつも(セットリストに)入れてくるけど、これはずっと入れよう
ちなみに83曲のセットリストのうち、こうした何らかの感想を抱く曲は少ない。
大半の曲は流れていても聞こえていない。
こうして何らかの感情を想起させる音楽は、マラソンレース向きと言える。
さっきから(歩道寄りではなく)センターライン寄りを走っているな。
今は、沿道の皆さんとハイタッチという気分じゃないということか。
まぁ先は長いからな
今日はそれだけ集中しているということか
今日は「余裕がないのかな」といった、ネガティブな思考回路はあまりない。
ということは、状態が悪くないということが言える。
この先が右折でその先は左に曲がっているから、なるべくアウトインアウトで最短距離を走ろう
ランナーはみんな道なりに走るんだよな
だから、アウトインアウトで走ると流れに沿っていなくて、ぶつかりそうになったりする
おい、急に歩くなよ
後ろからたくさんランナーが来てるんだぞ
歩くならば、コースの端に寄るとか配慮しろよ
その逆もあって
おい、歩いていたのに、人がとなりに並んだ瞬間に走り出すなよ
これはランナーならばわかると思うが、相対速度差により後ろに過ぎ去ると思っていた物体(ランナー)がそのまま視界に留まるというのは、リズムが崩れるのだ。
走りながら録音でもしていれば、他にもいろいろあるのかも知れないが、だいたいマラソンレース中に考えていることなんて、この程度だ。
終わったら肉を食おうとか
沿道のあの人が可愛いといったことは考えないし、ましてや仕事や職場のことなどこれっぽっちも思い浮かばない。
自分がどのような組織に属して、日頃どういう立場にある。
といったことは、ここで走っている自分とは何も関係ない。
そんな関係ないことを考えるほど、暇ではない。
走っているだけだから暇そうだし、たいしたことを考えていないけれど、暇ではない。
最大限の体力を使って目の前の一分に集中する。
コース上では、そのことに忙殺されるのだ。
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