実施をジッチと読むジッチ男
ヤマイさんは気難しい人だ
そして話しが長い
同じことを手を変え品を変えて話す
そして、悲しいくらいに話しの中身がない
その日、僕らは集まって改善案を話し合っていた。
独自のアイデアを持っている人というのはそう多くない。
司会者は手詰まりになり、さっきからだんまりを決めているヤマイさんに水を向けた。
どうですか?ヤマイさん
ヤマイ
「僕ですかぁ・・・(2秒沈黙)
まぁぶっちゃけて言うと、僕なんか素人ですから、あんまり改善とかされちゃうと、やることなくなっちゃうんですよね。ここだけの話し」
どこだけの話しだ!
と心で突っ込んだ。
彼の話はいつもこう。
他人の意見をまとめ、焼き直し、さも自分の意見であるかのように言う。
しかし、他人も意見を言わない時は、真似しようがなくなり、得意のぶっちゃけが出る。
みんなもホントはそうだよね。
小難しい顔してるけどさ。
本音で生きるオレの株でも買わないかという塩梅だ。
そんなヤマイさんの言葉で、前からずっと気になっていることがあった。
「せっかくいい案を作っても、ジッチできるのかというのがあるよね」
実地?
実地って"する"とか"できる"といった類いのものじゃないよね。
実値でもないし。
ATOKではこの2つしか候補がないぞ。
恐らくヤマイさんの脳裏にある言葉に漢字を当てるならば、それは「実施」なのだろう。
彼の口からもう何度もジッチを聞いているが、誰かが「ヤマイさんそれはじっしだよ」と正すことはない。
世間の風は暖かい
"いいまつがい"は指摘しない。
それが「大人の対応」というものらしい。
あまりにも自信を持って「ジッチ」と言い平気な顔をされると、こちらが不安になる。
もしかして、僕が知らないだけ?
しこうとせこう(施行と施工)のように、用例によっては「じっち」とも読むのだろうか。
いや、そんなことはない。
そしてこの「ジッチ男」は1人ではない。
年齢的には30代から50代まで幅広く分布している。
日本の一部地域では、学校でジッチと教えているのか?
あるいは「イとエが言えない栃木県民」みたいに、ある地方では「し」が発音しづらく「ち」と言ってしまう民族がいるのか。
気にはなるが、特にしらべるほどのテーマでもない。
ずっと放置してきたある日
「ジッチ女」が現れた。
「ジッチ女」が現れた。
その場には件のヤマイさんもとなりに座っている。
これはいい機会だ。
すみません、ちょっと気になるんですけど
(あくまで丁重に切り出す)
それはジッシではないんですか?
すると「ジッチ女」
え゛そうですか?ジッシ、ジッシ・・
確かにそうですよね。
すぐに誤りを認めた。
隣りにいたジッチ男
うんうん、もっともだと言わんばかりに頷いている。
いったい、なにがうんうんなのか
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