いつまでも言問団子
「五十番」改めタイ料理「ペンタイ」のある東京都墨田区業平4丁目を後にした俺たち一行は、本日の最終目的地である「言問団子」をめざす
一度、東京スカイツリー方面に戻り、ツリーの右側(押上駅のあたり)をかわしてツリーの反対側へ出る
ここで7年前「さかさツリー」を撮った橋へ皆を誘う
水面には確かに逆さになったツリーが映っていた
7年前はまだ7分ほどの高さだったので先端が川面に収まっていたが、634mに成長したツリーはその場所からはもうファインダーに収まらなかったぜ
気温は30度に迫っていて、俺たちの体力を奪っていくぜ
さっきまで騒がしかった3歳児はすでにベビーカーでおねむの最中
(もなかじゃないぜ)
ということは、その重みのあるベビーカーを押しているお母さんは大変だぜ
子育ては終わってみれば「大変だったけど楽しかった」と誰もが12文字で片付けるけど、やっている最中(さなか)の母親は大変だぜ
最近は「イクメン」とか「育休」とか言って、男が子育てごっこに参画して自己満してるようだが、母親の大変さはそんな上っ面なもんじゃない
本当に「母は強し」だぜ
30分くらいは歩いただろうか、ようやく「言問団子」に着いた時には、ほとんど会話はなくなっていたぜ
ここはメニューは1つだけで、店に入ると頼みもしないのにお茶と団子が出てくるんだぜ
道すがら、一度行ったきりの知識をひけらかしておいたんだが、店頭にあるショーケースによると最中のメニューが増えていたぜ
(今度は「もなか」だ)
小3の坊主には「中華と言ってタイ料理だったり、メニューは1つと言って2つだったり、この大人はいい加減だ」と思われたかもしれないぜ
参加者のうち1人だけが最中を頼み、あとは団子
食べている最中、最中の感想を聞くと「最中ですね」と言っていたぜ
彼はきっと今風でいう「ふつーに美味い」ということが言いたかったんだと思うぜ
名にし負はば いざこと問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと
「言問」(こととい)の名は、在原業平のこの歌にちなんでいるんだぜ
と、七年前にも書いたことだが、親切のため言っておくぜ
この場所の住所は「墨田区向島5-5-22」
向島(むこうじま)と言えば「ひよっこ」の向島電機を思い出したぜ
(この時点の物語では、向島電機は倒産前)
このあたりに向島電機のモデルになる工場があったんですか?とお店の人に尋ねてみたら、奥に店主を呼びに行ってしまったと思ったぜ
「この間もラジオの取材で聞かれたのですが、このあたりは料亭街ですから。工場は聞かないですね。申し訳ない」
と言われてしまい、恐縮したぜ
ほんと、こちらこそ、申し訳ないぜ
飲食店は栄枯盛衰が激しい業界だけど、穏やかな時間が流れる「言問団子」はいつまでも続いて欲しい場所だぜ
ということで、俺らは隅田川の風に吹かれながら、再開を誓ったんだぜ
誰もが暑さにやられていて、三囲神社に寄って、あぁライオンだぁと言うのを忘れて居たぜ
飲食店は栄枯盛衰が激しい業界だけど、穏やかな時間が流れる「言問団子」はいつまでも続いて欲しい場所だぜ
ということで、俺らは隅田川の風に吹かれながら、再開を誓ったんだぜ
誰もが暑さにやられていて、三囲神社に寄って、あぁライオンだぁと言うのを忘れて居たぜ
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