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2017年8月10日 (木)

「下関海響マラソン」名前の由来

「しものせきかいきょうマラソン」と聞いて
たいていの人は「下関海峡マラソン」という字面を思い浮かべるだろう。
2008年にこの大会が始めるに当たり、下関の関係者の皆さんはこんな命名会議を開いたのではないか。

 

「下関マラソン」
これではアピールが弱いな
マラソンと言えば「東京マラソン」「かすみがうらマラソン」のように地名だけを冠したものが多いけれど、ここは何か下関をアピールできる名前にしよう。
そうしよう

「下関ふぐマラソン」
下関といえば「ふぐ」地元では「ふく」と呼ばれる。
ふぐの水揚げ量は全国随一。
だが、すべてのふぐが下関近海の周防灘で獲れるわけではない。
ずっと遠くの海で獲れたふぐを他の港に揚げるより、下関に揚げた方がブランド価値の分、高値が付く。
それでふぐが下関に集まるのである。

「ふぐマラソン」じゃふぐの仮装ランナーだらけになりそうだな。
それに、エイドにふぐを出す必要がある。
「スイカマラソン」や「ぶどうマラソン」のように食べ物を冠した大会は、エイドの給食で供されるか、お土産として渡されると相場が決まっている。

 

しかし、マラソンを走っているランナーに「ふぐの刺身」というわけにはいかんだろう。
「ふぐの唐揚げ」でも蒸せそうだ。
そうなると「お土産でくれたらいいのに」ということになる。
ふるさと納税じゃないんだから、それじゃ赤字だよ。
やっぱり、ふぐはまずいな(美味しいけど)

「下関くじらマラソン」
下関は捕鯨で栄えた町だ
かつて大洋漁業(現マルハニチロ)の本社があり、NPBセリーグの「大洋ホエールズ」は下関を本拠地としていた。
海響館ができる前の旧下関水族館には、巨大なクジラの形をした鯨館があり、関門橋あたりから遠くに見えるクジラの建物をみて、いつも和んでいたものだ。

 

「くじらマラソン」だと、調査捕鯨に反対している人たちの反感を買いそうだな。
それに、ふぐ同様、エイドに出すわけにはいかんし、記念品にすると赤字だよ。
くじらはまずい(美味しいけど)

 

「下関海峡マラソン」
下関は海峡の町。
早鞆(はやとも)の瀬戸をはさんで九州(福岡県の門司)と対峙する。
下関出身の作家、伊集院静の「海峡」三部作はベストセラーだ。

 

だが下関が面しているのは「関門海峡」だ。
下関海峡ではない。
地図にない地名を冠するのは、大人の理屈でありがちだが、広く共感は得られない。
「子どもが間違えて覚える」
とクレームを言われたらめんどくさい。
海峡はまずい(これは美味しくない)

つづく

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