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2017年10月27日 (金)

紙コップの仮説

自分が置いたコーヒーでコーヒーの海を見た日から、問題の紙コップはそのまま使い続けている。

きっと、事情を言ってダイソーに申しいれれば、108円を返してくれるだろう。
だが、108円を回収するために、わざわざガソリン代と時間をかけてダイソーに行かなければならない。
自分の時給を考えると、それはとても割に合わない。

来る日も来る日もコーヒーは紙コップから漏れ続けた。
紙コップを二重にしても無駄なので、コップの下にティッシュを敷いて「コーヒーの海」が広がらないようにする。

紙コップを片付ける時に、コーヒーでびしょびしょになったティッシュを捨て、新しいティッシュをボックスから抜いて、クリーナーでテーブルを拭く。

ずいぶん手間暇がかかるが、それも紙コップがなくなるまでの辛抱だ。

あれ?漏れてない

9日め、いつものようにコップの下に敷いたティッシュにコーヒーが浸みてこない。コップを持ち上げ、下からのぞき込んでも、どこからもコーヒーが漏れていない。

そこで、となりのスズキ君が1つの仮説を立てた。
彼は過去8日間、いつもコーヒーが漏れる紙コップを見て笑っていたのだ。

「店頭に置かれている時、誰かが鋭利なピックのようなもので穴を開けたんじゃないですかね。そのピックが届いたコップはすべて穴が空いていたけど、今日の分から下のコップにはピックが届かなかったんですよ」

なるほど
そういうこともあるかも知れない。
しかし、そうなると犯罪行為だ。
迂闊なことは言えない

翌日、給湯器のところでサトウくんに会った。
彼が僕にダイソーの紙コップを教えてくれたのだ。
僕の紙コップは毎日コーヒーが漏れるんだ
でも昨日からは漏れなくなったけどね

すると、サトウ君が言った
「僕のは50個とも漏れませんよ」

50個?
そういえば、僕のは20個くらいしか入っていなかった。
水玉模様にコストがかかったのだろう。

お先にと言って去ろうとした僕にサトウ君が言った。
「motoさん、コーヒー漏れてますよ」

振り返るとタイルの床に点々とコーヒーのシミが僕を追っていた。
ここで"ピック説"は消えた

「これ、下にはめてください」
彼が持っていた紙コップを1つくれた
いや、二つ重ねは前にもやったんだけどね・・
せっかくの厚意なので受け取って、重ねる

 

1時間後、しばらく机に置いていたが、コーヒーの海ができていない。
そうか、穴の空いていないコップを下に重ねればよかったのか
かんたんなことだが、気づかなかった。

コーヒーを飲み終えたあと、水玉の紙コップを抜くと、下で受けていたコップにコーヒーが2cmほど溜まっていた。

それを一口で飲む まるで、升酒

上層の紙コップで濾過されたセブンイレブンの「香り立つ」インスタントコーヒーは一段と苦みが増して、美味しかった。

なわけないだろっ

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