心に残る情景 グーフィーのマリちゃんとロータッチ
下関海響マラソンは35kmにさしかかっている
マラソンを走ったことがない人にも「35kmの壁」という言葉は知られている。
主にトップアスリート(瀬古さんのような人たち)が必死に走ってきて、35kmのあたりで息切れすることをいう。
それを最近ではど素人ランナーまでもが「35kmの壁にやられた」と言ったりしている。
おまえの壁は全部だろっ
さて下関海響マラソンの場合、壁はあちこちにある。
今回「第1休憩」から「第4休憩」と名付けた4回の大きなアップダウン
それに関彦橋(かんげんきょう)
だから、35kmが特に壁ということはないが、33km~35.8kmは「第4休憩」つまり最後のアップダウン。
ここを超えれば苦しみから逃れられる
そこから先、ゴールまでは概ね下り
しかも市街地
郊外から市街地に戻るレースは、ランナーにとってこたえられない。
2017年からコース変更された後の「東京マラソン」がそうだ
2017年は荒天で中止になってしまった「横浜マラソン」もそうだ
逆に市街地から郊外に出る「福岡マラソン」のようなコースはがっかりである
彦島大橋の頂点にたどり着いた時、いいペースできていれば、ラストは楽しめるぞ!
そう期待していたわけだが、今回それは叶わなかった。
周りは全員歩いている
もう「全員」と言っていいと思う
僕のスピードは「歩くような速さ」かも知れないが、それでも歩くよりは速い
そこそこな速歩でも速さは1km10分程度
どんなにゆっくりでも走る速さは9分台
1km10分台で走るのは、まさに止まるような速さ。
走りながら太極拳をやっているようなもので、かなり難しい
目標タイムに届かないことは認めるが、ベストは尽くす
ここで手抜きして歩くならば、練習なんてしなければいい
マラソンレースのコース上にいて「走る」ことは当たり前のことだ
僕がマラソンを始める10年以上前
今となってはマラソンの師匠となる先輩が「途中で少しでも歩いたら、僕のなかでは完走とは言わないんだよね」と話していた。
僕は今、その言葉を「路上の銘」としている。
だからまた下関海響マラソンを走りに来たとしても、18km過ぎの関彦橋で歩いたりはしないだろう。
この時、僕が下関海響マラソンを好きになる出来事が起きる
谷にかかる橋にさしかかった時、向こうから20歳のマリちゃんと純ちゃんが歩いてきた
2人とも頭にかぶり物
マリちゃんはグーフィーをかぶっている
彦島道路は自動車道路なので、そこにイオンもスタバもない
レース中なので路線バスも通らない
ここを歩いているということは、マラソン応援のために遠くから歩いてきたということだ。
移動しながらランナーを応援しているのだろう
マリちゃん くまモンキャップをかぶり、ただ1人走っている僕に気づいた
あっくまモンがんばれっ
コース側を歩いていたマリちゃんが低い位置に左手を差し出す
それは高校の部活でトラック10周を終えた後輩に差し出すような、さりげない公認に似ている。
ありがとう
軽く手を合わせる(ロータッチですね)
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