マラソンコースを5歳児と走る
市民会館を右に曲がる
ランナーは曲がり角を曲がるとき、そこに人がたくさん見ていると、つい加速してしまう習性を持っている。
ここからは「海峡ゆめ広場」をコの字型にぐるりと左に回り込んでゴールへ向かう。
目標タイムはとっくに過ぎているし、誰かが見ているわけでもない。
そんなに速く走る意味はないのだが、勝手に足が前を急ぐ。
もちろん、カラダに力が残っていなければ、そんなこともできないわけで、まだ「足が残っていた」ことになる。
誰よりも速く走る
この時、撮られていたオールスポーツの写真に写った僕は、なかなかのフォームで走っている。
フォームだけならばこの1枚を買いたかったくらいだ。
できれば、ウィニングランのハイタッチでもしたいところだが、いかにも応えてくれそうな人達は見つからない。
数週間前に傷めた膝は、涼しい顔をしてこの42.195kmを乗り切ってくれた。
僕のこの足には、足を向けて寝られない。
いや、そのものが足か・・
対策として急遽投入した「パテックス機能性サポーターハイグレードモデル膝用」のおかげもあるだろう。
コース左側の舗道寄りが広く空いている
もっと、みんな観衆のそばを走ればいいようなものだが、なぜだか空いているので、その空間を加速する。
すると交差点の手前で前を往くランナーに走路を塞がれた。
ランナーは5歳児だ
その左にママも走っている
その右手、2mほどの所にはナンバーカードをつけたパパランナーだ
親子ランかっ
マラソン人生12年
子どもにコース上を伴走させる親を初めて見た。
こういう時、親に向かって「マラソン競技の在り方」について諭すと角が立つので、あぶないよ~と子どもにひらがなで注意を呼びかける
すると、パパランナーが「あぶないんだって~」と注意を促す
ママが子どもの手を引き、舗道に上げる
コース上がクリアされたので、信号を左折する
そのすぐ先にはもう次の左折信号が見えている。
短かった700mほどのウィニングラン
あの角を曲がると、そこにはゴールアーチが待っている。
この86m、ランナーに見えている世界はそれぞれに違っているはずだ。
目標タイムが目前ならば、あれまだゴールじゃないのかという戸惑い
6時間の制限時間に駆け込むランナーも同じだろう
その中間にいる、僕のようなランナーにしてみれば、肉屋のおばちゃんが包む前に秤に乗っけてくれた豚コマみたいなもの
ビルの日陰になった86mは、このコースに名残を惜しむ「おまけ」だ。
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