マラソン人生初、とんかつとビールの打ち上げ
シャワーを浴びて一息ついたところで、カズ兄ちゃんに墓参りに連れてってもらう。
母はそこにいないが、おじいちゃん、おばあちゃん、おじちゃんに無事、下関海響マラソンを走らせてもらったこと、そして、去年母が浄土に還ったことを報告したかった。
関門橋を見下ろす高台にある霊園に秋の夕暮れが迫っている。
この前ここに来たのは8年前、その時は母と2人だった。
帰路はみもすそ川公園へ下りて関門橋の方から帰ってもらうことをリクエストする。
暖かかった秋の一日を支えたお日様は、惜しまれながら響灘の方へと動座しようとしていたが、まだ十分に昼と呼べる明るさだ。
展示されている大砲の向こうには狭い関門海峡。
すぐ目の前には門司の市街地。
響灘の方から来た巨大な赤煉瓦のようなコンテナを5階建てのビルの高さほどに積んだ貨物船が、瀬戸内海の方へと慎重に進んでいく。
その船がうまくフレームに入ったところでシャッターを切ろうと、Vサインをつくる3姉妹にデジカメを向けるお父さん。
ここは、どこにでもあるありきたりな休日午後の観光地であり、ついさっきまで、道路を封鎖してマラソンが行われていたことを覗わせる手がかりは残っていない。
数時間前、自分がその中にいて、ここを二度走って行ったことがもはや懐かしい。
レース中は撮れなかった関門橋に向け、慎重にじっくりと時間をかけてシャッターを切った。
「コーヒーでも飲むか?」
はい、いただきます
別におごってもらうと決めていたわけではないが「コーヒー」に反応した。
ここ一週間、マラソン前のカフェイン断ちをしていた。
昨日、日本茶を淹れてくれたカズ兄ちゃんに、明日のレースまでは飲めないと辞したところ
「ランナーっちゅうのは、難しいことをするのぉ」
と笑われていた。
みもすそ川から少し長府に向かって走ったところの海沿いに喫茶店があったことを、走っている時は気づかなかった。
「ケーキもあるで」
コーヒーに加えて、ここ一ヶ月ほど続けていた「ケーキ断ち」もここで解禁。
子どもの頃は、素うどん一杯おごると言われても断っていた僕が、年齢を重ねて柔軟な姿勢の大人になったと思ってくれただろうか。
帰宅すると、お楽しみのとんかつタイム
肉を買い、パン粉を付けて油で揚げる。
油の温度管理は慎重を要し、その後の処理も面倒な、この手間のかかる料理が出る食卓は、家族が一堂に集う、幸せの象徴だ。
とんかつとビールの打ち上げ
マラソンを始めて以来、もっとも幸せな宴
だが、マラソンの話題はそこそこ。
宴の主題は政治・経済、そしてこれからの日本についてだった。
数ある親戚のなかで、この類いの話題ができる、この家に来ることを僕はとても楽しみにしている。
打ち上げを終え、22時には客間の床に就く
こと下関海響マラソンというレースについて、言うことはない。
結果には満足してないけれど、もう少し何とかなったかなと言うことでもない。
ベストを尽くしたし、一所懸命頑張った。
今は安堵感が強い
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