サラリーマンは本当に仕事をしているのだろうか?
サラリーマンは本当に仕事をしているのだろうか?
僕はサトウさんの話を聞いて、ふと、そんなことを考えた
サトウさんはメーカーで事務職の部署にいるサラリーマン
従って、この話は「間接業務」の人たちの話と言っていいかも知れない
間接業務とは
■企業の源泉活動に直接結びつかない仕事
■売上・利益に直接結びつく部門を支援する業務
具体的な部署名でいうと、人事、経理、総務、情報システムなど。
これに対して直接部門は、製造、開発、営業・販売部門である。
グループ企業において、間接業務を一組織に集約し、コスト削減と業務効率化を図る経営手法として「シェアードサービス」という言葉が、持ち株会社化が進んだ2000年台に登場した。
サトウさんは一日じゅうパソコンに向かっている。
毎日同じような処理の繰り返し
特に他部門との打合せに呼ばれることもない
購買にも携わらないので、来客相手に商談を受けることもない
ただ、ひたすら画面をにらみ、キーボードを打つ。
カタカタカタ
時々、我ながらうるさいなと思う。
それは恐らく、デスクトップパソコンに付属していた安っぽいキーボードのせいだ。
寄る年波で最近は手首が吊るような感覚がある。
腱鞘炎・・っていうやつかな
ネットでしらべると、手首に優しいキーボードも出ているらしいが、なにせ会社は「社員の健康」といったところにとんと疎い。
ある時、あまりに腰が痛いからと言って、みんなの椅子を買い換えて欲しいと願い出た先輩が、しばらくして異動したことがあった。
それ以来、誰もが「壊れていないもの」「まだ使えるもの」について要望を口にすることはなくなった。
カタカタカタ
今日もキーボードを打つ音が響くな
その時ふと、サトウさんはとなりのスズキさんが静かなのに気づいた。
スズキさんは勤続20年を超えた女性の中堅社員。
特別に仕事ができるともできないとも言われない、何処にでもいる標準的な事務員だ。
どうかしたのかな?
気になったサトウさんは、背伸びをする振りをして背もたれに寄りかかり、視線だけを動かした。
すると、その瞬間
スズキさんのパソコンの画面が変わった
サトウさんの記憶に残った一瞬の残像は、会社のシステムではなく、写真がふんだんに使われたウェブサイトのようだった。
人は一度、情報を収集し始めると、そのアンテナ感度が上がってしまう。
それ以来、なんの気なしに背伸びするだけで、スズキさんが画面を切り替えることに気づくようになる。
制作、営業といった直接業務に携わる人も、会社でパソコンに向かう時には「WEBさぼり」をすることがあるかも知れない。
だが、そういう職種の場合、制作の〆切や売上ノルマといった節目の成果という縛りがある。
本業の成果をおろそかにしてまで「WEBさぼり」する人はいない。
だが、間接部門の場合、違う。
ミッションクリティカルな人を除き、成果を出す〆切はない。販売のノルマはない。
Jリーグ(J1)のように「今日は10km走り、全体で2位でした」といったトラッキングシステムもない。
Jリーグ(J1)のように「今日は10km走り、全体で2位でした」といったトラッキングシステムもない。
抱えている仕事、事務の分量が少なくても「自分のスピードはこんなものです」という振りをしてゆっくりやれば「ヒマで仕方が無い」ことを隠すことは容易だ。
周りに気づかれず、毎日の一定時間を「WEBさぼり」で過ごすことができる。
それに歯止めがない。
周りに気づかれず、毎日の一定時間を「WEBさぼり」で過ごすことができる。
それに歯止めがない。
最近、サトウさんは、背伸びするのを止めた。
WEBさぼりを何食わぬ顔でしている「確信犯」がとなりに居ることを忘れていたいからだと言う。
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