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2018年7月 3日 (火)

「アマチュアの詳しい人とプロは違うんだよ」

現在、僕の座右の銘は「アマチュアはものごを複雑にするプロこそがものごとをシンプルにできる」だが、権田さんからこう言われたのはその数年前。
「アマチュアの詳しい人とプロは違うんだよ」

その日、僕は会議室にこもり権田さんからマンツーマンの研修を受けていた。
当時、長年の「営業経験」にくわえ「コンピューターに明るい」ことを買われて「SE」人生のスタートをしたばかり。
と言えばキレイだが、実際は営業を追われ「パソコンに詳しい」という理由で拾ってもらった。

そんな僕の研修役としてあてがわれたのがSEの大ベテラン権田さん。
既に指揮系統を離れ全体の支援に回っていたが、それでも誰もが一目置く知識と経験がある。
今思えば(今よりという意味で)若かった僕は勉強する姿勢、教わる者の態度に問題があったのだと思う。
教わりながら、知っていることについては「それはやったことがあります」といった「口答え」をしていたのだ。

それは「教える側」の者として、もっとも腹が立ち「これ以上、口もききたくない」と思う態度だ。
現在、歳をとった僕は若い人を教える機会が多い。
生徒の中には「あぁそれは知っています」と、いちいちコメントする者がいる。

その都度「あのねぇ、知っているんだったら習いに来なくていいよ」と言ったりはしないが(冗談ではなく)2秒くらい息が止まる。
権田さんにしてみれば「パソコンに詳しい」という前評判を聞き、現実に僕と接してみて「こいつは勘違いしている」と思ったのだろう。

「アマチュアの詳しい人とプロは違うんだよ」
権田さんの顔が紅潮しているのをみて、はっとした。

君はパソコンには詳しいつもりかも知れないが、プロのSEとはそういうものじゃない。アマチュアでいくら詳しくても、それはプロとは次元が違うんだ。彼はそう言いたかったのだろう。

「これを勉強しなさい」
権田さんはそう言って僕に分厚いテキストを手渡した。
表紙には「MIND-SA」とあった。
これがトランスコスモスとの出会いだ。

【まいんどえすえー】
Method of Information systems Design for System Analysis
複数案件をシステムとしていかに改善するか「解決策指向」で追求する分析・定義・設計の理論
1984年に日本システミックスが開発
これ以降、2001年度まではトランスコスモスが営業活動を行った
2002年4月1日からはシステム企画研修(株)が営業をおこなっている

「MIND-SA」は1980年代に基礎を学んだホスト世代のSEでは有名な理論。
大がかりなプロジェクトの時に用いる手法。
同様の理論に「KT法」があるが、そちらは個別案件を対称とし「真の原因追及指向」で問題を追求する理論。
「解決策指向」のMIND-SAとは、出発点が異なっている。

つづく

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