皮まで食べられる
駅の階段を降りて地上に降りた横断歩道の前で、壁際に立ち歩行者信号が青に変わるのを待っていた時のことだった。
すみません
ちょっといいですか・・
視線を上げると、そこには20代と思われる女性がいて、カートを押す手を止めている
宅配便のお姉さん?いや、ちがうな。
それならば、見慣れたカラーリングのユニフォームを着ているはず。
宅配便のお姉さん?いや、ちがうな。
それならば、見慣れたカラーリングのユニフォームを着ているはず。
きっと、道を尋ねたいんだろうな・・
この辺り、それほど詳しくはないけれど、人助けだと思って、聞くだけ聞こう
駅のすぐそば
大きな荷物
横断歩道で信号を待つ僕に話しかける
これはまさに「道案内」を求めている状況だ
僕はそう思う
僕はそう思う
「あなたは神を信じますか?」
の人だったら、もうちょっと身軽で動きやすい恰好をしているし、僕にはそういう人を一瞬で嗅ぎ分ける嗅覚のようなものが備わっている
あ、はい
すると彼女がひと呼吸置いて、話し始める
決して美人という訳ではないが、朴訥で素直そうな笑顔が印象的だ
バナナは好きですか?
・・・
(えっ?バナナ)
よくみると押しているカートには、バナナの絵が描かれた段ボール箱が2つ納まっている。
いや、そうでもないです
バナナは大好きだ。しかし
咄嗟に嘘をついた
防衛本能が働いたのだ
僕の答えが、想定外だったらしい彼女
しかし、そこで終わらない
それじゃ"とっても美味しい"バナナは好きですよね?
美味しいバナナ・・
絶妙の畳みかけ、思わず想像してしまった
えぐみがなく、ほのかに甘くて、ちょっと歯応えが堅め
冷やしてあったらいいな
はい
やべ、つい正直に答えてしまった
彼女が続ける
■■の皮まで食べられる、美味しいバナナを持ってきたんです
あと、残りわずかなんですけど、もってってもらえませんか?
(■■には、産地の県名が入る)
「もってって」
ときたかぁ
1本試食して、感想聞かせてください
って話しじゃないよなぁ
「もってく」というのは、八百屋・果物屋のおばちゃんが「財布から金を出して購入して持ち帰りなさい」という意味で使う、あれだよなぁ・・
僕はバナナの箱に目を落とす
彼女は今にも、箱を開けてバナナを取り出しそうな勢い
美味しいバナナがどんな味なのか体験できないのは、少しがっかりだが、今ここで、いったいいくらするのかもわからない美味しいバナナを購入して帰る気にはなれない
彼女は今にも、箱を開けてバナナを取り出しそうな勢い
美味しいバナナがどんな味なのか体験できないのは、少しがっかりだが、今ここで、いったいいくらするのかもわからない美味しいバナナを購入して帰る気にはなれない
いや、いいっす
美しい日本語を使うことを信条としている僕ともあろう者が、咄嗟とは言え、下品で感情を閉ざした言い回しをしてしまったことに、少し落胆した
しかし、彼女は、少しもめげずに
さっさとカートを3m押して、次のターゲットに「バナナは好きですか」をやっていた。
信号が変わるまでの勝負なのだろう
効率わるっ
(僕はそう思う)
(僕はそう思う)
産地の■■からここまで来て、おいしいバナナを売って帰る
いや、彼女は仕入れているだけで、この辺りに住んでいるのか
それにしても、キャッチバナナ売りなんて初めて聞いた。
プロモーションというわけでもなさそうだし、1本2千円とかとてつもなく高単価なものだったのかな
そんなことを考えながら帰る盛夏の家路は、それほど悪くなかった
美味しいバナナ、売れたかな
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