エクセルの申請書を使い回す人たち
サトウさんの会社ではWindows2000が出た頃から、ホワイトカラーの人たち全員に会社からパソコンが貸与されている。
ある人はデスクトップパソコンであったり、ある人はノートパソコンであったりという違いはあるものの、基本的には、エクセルやワードが入っているWindowsパソコンであることには違いない。
サトウさんは総務部に所属しているので、売上目標、ノルマといったものはない。
サラリーマンである以上、事業計画には組み込まれているわけだが、仕事の性格上「たくさん仕事をとってこい」といったことはない。
日々、心がけることと言えば、ムダを省いてコストを下げる。処理の効率を上げるといったことだ。
そんなサトウさんには、日頃から抱えている課題があった。
それが、社員から総務部へ届く「申請書」だ。
社内の営業、開発、製作といった部門の社員が、総務部へ送ってくる申請書。
昔は紙に手書きして、上司のハンコをもらうものだったが、パソコンが普及して、申請書がエクセルやワードで作られるようになってから、その課題は発生した。
申請者が一度提出した申請書を自分のパソコンに保管しておいて、次の申請時には一部を書き直して提出する。つまり「使い回し」をするようになったのだ。
紙の場合、ボールペンで書いて上司のハンコをもらったものは、再利用がきかない。
ところが、パソコンは「書く」「保管する」「削除する」「修整する」「保存する」といったことがお手の物。
何度か提出する申請書ならば、再利用したくなる気持ちもわからないでもない。
では、サトウさんの課題とはなにか。
一つは、他人にも「使い回し」が広がることだ。
Aさんが申請して承認された申請書があるとする。
それを、Aさんが「こうやって書けば通るぞ」と言って、申請書のファイルをBさんに渡す。
Bさんは、日付や名前だけを書き換えて提出する。
これをやると、Bさんは「申請の意義」を理解しないことになる。
申請書には「注意事項」や「規定」が記されているが、ろくに読みもしない。
そういう「自分はなにも悪いことしてないんだから、申請とかに時間をかけたくない」といった人が、実際には事故をやらかすのだ。
こうした「使い回し」が起きていることは、プロならば容易にわかる。
使い回しでは、申請理由の文面がまったく同じだ。
なかには部署名、氏名まで同じ。つまり「書き換え忘れている」ことすらある。
つづく
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