25周年では演ってくれなかった「野生のチューリップ」
4曲をセッションしたトリーナ・ニ・ゴーナルが拝むように手を合わせて袖に消えて、再び遊佐未森とそのバンドの演奏が始まる。
「彼方」
2003年の「ブーゲンビリア」に収録されている。
僕はあまりこの曲の印象がなかった。
今回の30周年コンサートは「ユニット」「カバー」「セッション」が三大ポイント。
25周年の「ミモリアルソングス」は、アニバーサリーらしい「遊佐未森の歴史」的選曲だったので、今回も同様のものかと思っていたが、いい意味で予想が外れた。
ただその中でこの「彼方」は、どのような理由で選曲されたのだろう。
■「Mimorial Songs」セットリスト
Prologue
瞳水晶
暮れてゆく空は
水夢
poetry days
天使のオルゴオル
地図をください
僕の森
通り雨
潮見表
ハープ
街角
Dance
Floria
夏草の線路
窓を開けた時
ロカ
オレンジ
欅~光りの射す道で~
アンコール
ラジオスターの悲劇
0の丘 ∞の空
ここで「野生のチューリップ」が来た。
前の方の客が一斉に立ち上がる。
中断の人がぽつりぽつりと立つ。
僕は「よし、もっと来い」と念じている。
いつもならば逆で、おいおい立つなよ。見えなくなるだろ。座ってみようよ」なのだが、この曲はぜひ立ちたい。
それというのも23年前、名古屋で観たコンサートの終盤にかかったのがこの曲で、腕をぐるぐると回す振り付けで場内が大いに盛り上がった。あの時を思い出すと、不思議に幸せな気持ちになる。
僕の2つ前の客が2人立った。ようやく僕の視界の一部が遮られて、よし来たと立ち上がる。
立ち上がってみると、僕はこんなに背が高かったのかと、一瞬不安になる。後方列はけっこう傾斜がきついのだろう。後ろの人に悪いなと思うが、ここは行くところだ。
腕をぐるぐる回す振り付けはなかったが、ほぼ高年齢層の男性で固められた僕ら遊佐未森チームは、25周年では演ってくれなかったこの曲を聴けたことの僥倖に酔った。
この曲がスピッツから提供されたものだということを、帰宅してYou Tubeを検索して知った。
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