戦慄の歯科医体験
明日、歯医者に行く方は読まないことをお勧めします
お変わりありませんか?
数ヶ月ぶりに会う歯科医が声をかけてくる
えぇ特に・・
僕は思わず苦笑いする
お変わりありませんかには、相変わらずちゃんと歯が磨けてないんでしょうね?という揶揄が含まれている気がするからだ。
口をゆすいで診療ユニットの椅子に寝そべる
ごほ、ごほ
いつもならばすぐに「さぁ診ましょうか」とやってくる歯科医が離れた場所で咳をしている
体調が悪そうだ
マスクをしているから、それほど気にはならないが
いつもよりは磨けていますね!
久しぶりに聞くお褒めの言葉につづいて、でもやっぱりまだまだです。そう言ってお掃除が始まる。
はじめはシリウスを使って歯間をみていく
完全予約制のその歯科医院に、いつも他の客はいない。
エアータービンのきゅいーんという音が鳴っていない分、部屋が静かだ。
かすかに聞こえてくるBGMは、歯科医院向けのチャンネルなのだろうか。時折音楽の合間に歯の保守についてのお知らせが流れる。
ぐしゅぐしゅ、ごっくん
ん?なんだ?そのごっくんってのは?
それも間近、というより真上から聞こえる
僕の視界は歯科医によってタオルで塞がれているが、歯科医が必死になにかをこらえていることは容易に想像がつく。
つづいてエアータービンによる施術が始まる。
神経を逆なでする周波数の高い音は、何度経験しても慣れない。
僕の体が緊張で堅くなる
いや、今日はそれだけではない
大きく開けた僕の口の真上に、鼻水だか痰だかを必死にやりくりしている男がいることが、緊張を増しているのだ。
しかも彼は当然ながら、右手にエアータービン(細いドリルのようなもの)左手に水分を吸引するバキュームノズルを持っている。
少しでも手先が狂えば、いったいどんなことが起こるのか?
ドリルが歯に穴をあけるんじゃないか
バキュームノズルに喉ちんこが吸い込まれるんじゃないか
考え出したら、怖くて仕方ない
だから、考えないことにする
患者と歯科医の信頼関係なくして、歯科治療というものは成り立たない。
心なしか歯科医がエアータービンを操る手つきが雑だ
ごしごしと歯に突き立ててくる
いつもそうだったのか、もしかして、早く終わりたいという心理が彼に働いているんじゃないのか
そして心なしか、治療はいつもより早く終わった
僕の歯の状態がよかったのか、彼がそうしたかったのかはわからないが、すべては杞憂に終わった
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