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2019年1月 7日 (月)

かつ丼はある一定以上に美味くなりようがない

2018年、御用納めの日
中村君とご飯に行くことにした
中村君とは時々会食をするが、その大半は「とんかつ食べ歩き」
ただし、今年はまだ一度も行っていない。
それに僕自身今年はまだ一枚もとんかつを食べていない。


「この間、行ったステーキ店が美味しかったです。特にサラダは絶品でしたね。たまにはステーキでどうですか?」という彼の意見を聞き入れ、お店を決めたのが一ヶ月前。

ところが、三日前に中村君が突然、ごね始めた。
「調べたところ、週末は禁煙タイムがあるのですが、平日は全面喫煙OKなんです。僕はタバコが大嫌いで、となりの人がタバコを吸い始めたら、席を替えてもらえなければ店を出ますけどそれでもいいですか?」

いい訳がない
食事の途中で一方的に席を立つというのは品が無いし、お店の人にも迷惑だ。
そこで、この寒いなか僕が一肌脱ぐことにする。
そのステーキチェーン店の別の店舗に電話をかけ、禁煙席の有無について尋ねてみる。電話応対した店員は間髪を入れずこう言った。

「当店は全面喫煙です」

「ここから先は蟻一匹すら通さぬ」という関所の役人のような毅然とした口調。
もちろん交渉の余地があるわけではないし、僕ら消費者は、商売人の態度によって不快な思いをすることを本意としないので、丁重に会話を終えた。

そこで、僕から次に行こうと目をつけていたとんかつ店を4店並べて提案し、そこから中村君が選んだ店に行くことになった。


現代は空前のとんかつブームらしい。
グルメ雑誌では定期的にとんかつ特集が組まれているし、ムックも出ている。
ある雑誌の記事にあったその店の紹介では、かつ丼の写真が掲載されていた。他の店は大概「ロースとんかつ」や「カツサンド」だが、そこはかつ丼。きっと、それが人気の一品なのだろう。

歳末の繁華街、30分並んでたどり着いたテーブルで、中村君はとんかつ定食にエビフライを追加。僕はその店で最も値が張るかつ丼を注文。
この店で特筆に値するのは、配膳を担当する誰もが親切でにこやかということだ。
勧めてくれた大盛とは、どれくらいの量なのか?
ショーケースの見本は丼が小さいが、あれは原寸大なのか?
店によっては、疎まれそうな質問にも、丁寧に答えてくれる。
客商売はこうでなくちゃ
お金を使ってお店に行った時は、できれば機嫌良く過ごしたい
その後に訪れたコーヒー店でも、とても親切な接客に心癒やされた。
これは、老舗が並ぶこの街の土地柄なのかも知れない。


かつ丼を前に食べたのがいつだったか記憶が無い。
ただ、この日、食べたかつ丼は記憶に沈む味の記憶と何ら変わるものではなかった。

僕にはとんかつの持論が2つあった。
「とんかつはロースに限る」
「ヒレの意味が分からない」

もちろん目の前で「ひれかつ定食」を選んだ友達に向かって「意味不明」と言ったりはしない。持論は自分の内側にあるものであり、誰かに対して押しつけるものではない。
そして、この日とんかつの原則が一つ加わった。

「かつ丼はある一定以上に美味くなりようがない」
中村君にはもちろん言わないが、僕はそう結論づける。
2,500円のかつ丼が不味いわけが無い。
ただ、チェーン店で食べる700円のそれも、ほぼ同じくらい美味しいのだと思う。
ブランド豚はやはりとんかつ定食で食べるべきだった。

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