初めて自分で払う回らない寿司
翌日は二年ぶりの「寿司」だというのに、僕の気持ちは沈んでいた
二年ぶりといっても、前回のは回転寿司であり「回らない寿司」となると、すぐには思い出せない。記憶を辿ってみると30年ほど前、先輩がお昼につれてってくれたことがある。あれが最後だ。
その前というと、その数年前、同窓会のあと、町(佐世保)で呑んでいた父とばったり会い「寿司でも行くか」となったことがあった。
これは、初めての父との「さしのみ」だな・・
と少し感慨にふけったのだが、大将から「先生、すみません。もうお仕舞いなんです」と言われ、そのまま帰ったのだった(父は教諭である)
ということは、人生二度めの「回らない寿司」か
「夜の寿司」も「自分のお金で食べる回らない寿司」も人生初めてとなる
そんな前日、僕の気持ちは沈んでいたのである。
その「寿司」はその日、急遽決まった
いつも「とんかつ」食べ歩きを共にしている中村君が「寿司は食べられますか?」と聞いてきたのである。
人はこう聞かれると、相手の真意を測りかねる。
僕の懐具合を心配しているのだろうか?
学生の頃、RZ350(バイク)で九州一周していた時のことだ。
その日、少し遅めの時間に高千穂YHにたどり着くと、既に食事の支度が始まっていた。縁側から泊まり客が顔を出した。
「おつかれさま」女の子がねぎらってくれて、僕は突然の歓迎に少しうろたえる。
次の瞬間、人生最大の困惑とも言える質問が投げかけられた。
「うなぎ、食べれる?」
エプロンを掛けているところをみると、YHのスタッフらしい
僕は苦学生であった。
1日の食費は450円に抑えていたので、ほとんど外食はしない。うなぎは五島に住んでいた頃、母が釣り上げた時に食べたことはあるが「外で食べた」ことはない。「外で食べると高い」と思っていたからだ。
「高千穂のうなぎ」のつづきは
→高千穂のうなぎ
中村君が「寿司は食べられますか?」と聞いてきたのは、僕が魚介類を苦手としていることを覚えていたからだった。
確かにえびかにいかたこは食べられない。だが、鮨屋にはそれ以外に豊富なメニューがあるはず。ここは「とんかつ」を見送り「高級寿司を2時間3,980円で食べ放題」という彼の提案にのることにした。
しかし、時間が経つにつれて気持ちが沈んできた
回る寿司ならば2,000円も食べれば腹一杯になる。
それを税込4,298円も支払うのか
きっと「元は取れないな」
こういうのを貧乏性というのだろうが、そう思わずにいられない。
きっと、飲み物は高いんだろうな
たくさん食べられないようシャリが大きいんだろうな
一個ずつ食べたくても二個セットなんだろうな
残すとペナルティがあるんだろうな
悪い方に考え出すと停まらない
つづく
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