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2019年9月13日 (金)

「謝らない族」は言いなりママ

謎の「一ヶ月前母娘」はとなりの車両へと去って行った。
2人がいなくなると、ヤンママ夫婦が呆れている。
「だいたい、有効期間は一ヶ月やないよね?だいたい、どないして改札通ったんやろ?」
どうやら関西在住らしきママが不思議がる。
「新幹線からの乗り継ぎで入れてしまったんじゃないかな」
割と標準語の旦那が訳知り顔で推察する。

そうして、この4人家族はバラバラに座った。
ヤンママが僕のとなり。廊下を隔てて旦那。その窓側に男子幼児。お姉ちゃんが1人で旦那の前。
恐らく、直前に切符を取ったのだろう。

計画性というものはないのかな?
いや、急に休みがとれたのかも知れない・・
いずれにせよ、僕の知ったこっちゃない

そして、この家族のおかげで僕の気ままな列車旅は台無しになるのだった。

列車が二日市に着く前に、早くもそれは始まった。
旦那のとなりでぐずっていた男子幼児、仮にノリヤス君としよう。
ノリヤス君が「ママのとなりがイイ」と言い出した。
ママはダメだよと言ったが、旦那は強く静止しない。
きっと、彼も日頃の仕事で疲れているのだ。

ママのとなりは僕の席だ。
「じゃ譲りますね」という訳にもいかない。
ノリヤス君はママのお膝にできるだけ抽象的な恰好でダイブする。
そして「こっちがイイ」と言って足をばたばたさせる。
その足がジャージを履いた僕の足を連打する。

するとママは軽くノリヤス君の足の位置を修整
僕は次の言葉を待つ
「・・・」

ママは無言だ。
そうだ。彼女も「謝らない族」なのだ。
「謝らない族」を研究している僕の調査によると、東京の都市部では非常に比率高く分布している。そして、ママの言葉からすると関西にもそれは広がっているようだ。
今回の里帰りで、佐世保の人々を観察したところ、佐世保では「謝る族」の比率が高かった。
それに、そもそも佐世保の人は体の接触を嫌い、見知らぬ人とは距離をとる。
路線バスでは、2人がけ席の大半は1人が窓際に座っていて、そのとなりは空席。しかし通路にはたくさんの人が立っている。東京ではあり得ない光景だ。


ノリヤス君は足をばたつかせるのは止めたものの、ぐずるのを止めない。
そこでママが「ばぁばのケータイしよか?」と提案すると、彼はすぐにそれを受け取り何やらゲームを始めた。

ぴゅん、しゅっ、ずどーん

公共交通機関内では、周囲の人に配慮して音は消して欲しい。
そんな僕の願いも空しく、ノリヤス君はさらに音量を上げる。
さすがにママが「ダメ」と言って音を下げると
「あか~ん」
ママが「ママもちょっとさせて」と言うと
「あか~ん」
ママが「他のしようか」と提案すると
「あか~ん」

「謝らない族」は、いいなりママだった。

 

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