その10秒がなかったら・・
その日は定時に会社を出た
この日は、散髪に行くと決めていたからだ。
青信号が出ているだけで、用もないのにふらっと入ってしまいそうになるカットハウスチェーンの脇を抜けて電車に乗り、最寄り駅の前にある美容院にやってきた。
店内はがらがら
過去の曜日別統計によると、この店は金曜日が最も空いていて、大概は入店してすぐに案内される。
いつも通りの長さ指定して、散髪が始まる。
ここで考えが変わった
いつも散髪は6週間に1度と決めていたが、このところは5週間に間隔が狭まっている。
この次、5週間後となるとマラソンの直前になってしまうので、ここは、いつもより短めにしてもらおう。
長さの変更を告げると、美容師さんは快く応じてくれて、散髪が進む。
そして、いつもならば仕上げのハサミは「一応念入りにやっているポーズ」程度なのだが、今日はとことん拘って仕上げのハサミを入れてくれる。
お店が暇なのだ。
お代を払って店を出ると、所要時間は20分。
いつもの2倍近い時間がかかっていた。某カットハウスチェーンならば2倍のお代を払わなければならないところだ。
いつもより入念に仕上げてもらい気分よく商店街を歩いていると、いつも心奪われるショウウィンドーの前に来た。
そこにはある「ポスター」が貼られているのだが、このポスターがなかなかいい。
もう1年ほど前から、いつかこのポスターの写真を撮りたいと思っていたが、周囲の目もある商店街。なかなか思うに任せないでいた。
(どういうポスターなのかは内緒)
幸い、周囲の人通りがない。部活帰りの中学生もいない。
よし、チャンスだ。
メールを見る振りをしてスマホを取り出して、写真を撮る。ピンボケで悔やみたくないので、あと1枚。
この間およそ10秒。
誰かに見られたか?と当たりをキョロキョロするような挙動はせずに、何事もなかったように歩き始めた、その時だ。
がしゃっ
乾いた音がした
目の前の光景に理解不能な状況が広がっている
なんだ?これ
その状況が腑に落ちるまで3秒ほどを要した。
そうか、木が倒れたのか
高さ3~4メートルほどの木が倒れて、車道を塞いでいる。
咄嗟に下敷きになった人、自転車がいないかを確認したが、幸い誰もそこには居ない。
すぐに行く手を阻まれた通行人や向かいの商店の人が集まって来て、木を取り囲んだが、誰もがどうしていいかわからず、立ちすくんでいる。
やがて、その中の1人が「えぇ、けが人はいないんですが・・」と話し出した。どうやら110番通報の労をとってくれたようだ。
その木は商店の脇から生じて曲がりくねって伸びていくうちに、歩道を塞いでしまっている古木。
時々、スマホを操作しながら歩いているOLが頭をぶつけている。
「頭上注意」の札がかかっているが、半径5m以内は立ち入り禁止といった措置をとるような、リスクは想定されていなかったのだろう。
どうやら、長い年月の間に木の中身が腐って空洞化していたようで、倒れて道路に打ち付けた拍子に大まかに4分割されて、道に横たわった。
最初は与作が伐採している最中に出くわしたのかと思ったが、考えてみれば、白昼の町なか、交通規制もせずに木こりが木を切るわけがない。
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