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2020年1月26日 (日)

アドレスを知らず、年賀状のやりとりもないつながり

年が明けてからずっと、一本の電話を待っている。
いつもならば、外線電話を取ったりしないが、先週は率先して取っては、それは隣の人ということが続いた。
待っている相手は岩尾君。年に1度、この時期にやってくる営業担当だ。
なぜ電話かというと、よくわからない。
営業のアポイントは、メールよりも電話という考え方なのだろう。

岩尾君との付き合いは、もう10年以上。
仕事の話しもするけれど、お互いが楽しみにしているのは、この1年の近況報告だ。
共通のテーマはスポーツ。
ただ、特定のスポーツチームを応援していると言った話しはしない。聞いていて面白くないからだ。
もしも、野球チームに入っている岩尾君が「去年のカープは不甲斐なかったです」といった話しをしたら、僕は興ざめする。だから僕もしない。ちょっとするけど^^;)


去年は岩尾君が「motoさん今年はつくば(マラソン)ですよね」とメモを見ながら話しているのに感心した。
雑談の内容を書き留めておく営業は世界中にいるかも知れないが、自分がその営業を受けるのは初めてだったからだ。

だから今回は去年、岩尾君が話したことを復習する。と言っても僕は営業ではないので、営業システム手帳は持っていない。このブログで去年書いた記事を読み返した。

「ソフトボール大会で利き手の指を骨折した」
「リハビリをして、随分曲がるようになった」
去年そう言って、あまり曲がらない指を見せてくれたので、まずは、指の回復状況を気遣うところからだ。
すると、岩尾君は「覚えていてくださったんですか?」と言う。きっと僕は、いや去年の記録を読んで復習してきたんだとネタをばらすだろう。


半年前、パソコンに向かっていると「ちょっと名刺二枚持って、来てくれませんか」と呼ばれた。岩尾君以外に僕にお客さんが来ることはないので、ちょっとドキドキしながら向かうと、そこには岩尾君と同じ会社の社員が2人来ていた。
聞くと、彼らは岩尾君の部下にあたり、岩尾君は部長なのだという。
そういえば、初めて会ってから10年以上、名刺をもらっていない(普通はもらわない)
知らない間に(普通は知らない)岩尾君は偉くなっていたのだった。

「よっ、大部長!」
と冷やかすのも入れなければならない。

暖冬が続いて卵の値段が上がり、中国で新たな伝染病が流行り始めていた頃、外線が鳴った。
電話をとった町田君は「岩尾さんという方ですが・・」と怪訝そうに言う。
ワンルームマンションの売り込みだったら、居ないというつもりのようだ。
あぁ、いいよと言って保留を解除する。

今年は遅かったね
「いやぁ一年が経つのがあっという間ですね。ついこの間会ったような気がするんですけど」
僕は言う。でも三ヶ月に1度くらい会う人で、あまりそう思わない人も居るんだよね。どこがどう違うんだろうね?
「さぁ・・」
新たな課題を僕は見つけ、彼はまた営業システム手帳を持って、やってくる。
互いに個人のアドレスは知らない。年賀状のやりとりもない。そんなつながりが、今はとても大切に思える。いつか名刺がなくなっても、彼は僕と会って話してくれるだろうか。ふと、そんなことを考えた。

 

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