[テレビ取材ではカメラを見てはいけません法]が制定されて10年
2020年3月末
マスクをつけたおばちゃんが、テレビの取材に応えている
マスクの端っこが変色しているところをみると、一週間は使い続けているのだろう。その苦労の跡が窺える
首都圏の各知事が「不要不急の外出自粛要請」を出して迎えた週末の土曜日。
スーパーに食料品を買出に来たおばちゃんが話す
外出できないから遊びにも行けない
外で食べるのもなかなか難しい
おばちゃんは取材する放送局の記者の方をじっと見据えたまま、にこやかに話す
彼女はけっして「人と話す時は相手の目を見て話しなさい」と親から躾けられたわけではない
続いて、記者は飲食店に向かう
この週末、外出が自粛されるなか、お店が営業するのかを取材するためだ
まだわかりません
決めていないので
応えづらそうな女性店員
しかし、その視線はしっかりと取材記者を捉えている
続いて、記者は若者に人気の百貨店へ
いくつかの百貨店は土日の休業を決めているからだ
マスクをつけた女性社員が応える
売上も含めて数字としては厳しいところが出てきていますが、感染予防の意識付けが若い世代の方にも伝わればいいと思っています
別の放送局ではサクラが見頃を迎えた名所にカメラが出ている
ここ数日、恒例となった取材場所だ
マスクをつけた高齢のおばちゃん2人組が取材に応える
人は少ないと思って来たのに、意外に多くてびっくり
私たちはこうして(マスクを付けて)対策してるけど、若い人たちは(マスクもつけていないし、大騒ぎしていて)どうなんでしょうねぇ
お前が帰れよ!
お茶の間の皆さんがつっこんでいるだろう
[テレビ取材ではカメラを見てはいけません法]が制定されてちょうど10年
今ではすっかり定着して、誰も違和感を感じていない
法律ができてスグの頃
テレビで放送される取材映像を見て、違和感を感じた
なぜ、みんな"カメラ目線"しないんだろう?
テレビがこの世に登場して以来、アナウンサーは必ずカメラを見て話す
ニュースの場合、手元の原稿に目を落とすのだが、節目節目ではカメラに目線を送らなければならない。そう、放送局では指導してきた
「徹子の部屋」のような対談形式でない限り、インタビューを受ける側は"カメラに向かって話す"ことが、半ば義務づけられてきたのだ
テレビに映るには、良きにつけ悪しきにつけ何かを成し遂げなければならない
見るからに一生テレビに映ることはなさそうな一般の人
ここぞとばかり、カメラ目線でしっかり映りたいと思うはずだ
しかし、小学生の悪そう坊主から、大根畑のおばちゃんまで、誰もカメラ目線しなくなった
これは、何かあるな
初めのうちは、撮り始める前に「私を見てください。カメラを見ないでください。カメラを見たら撮り直しになるので」と釘を刺されているのだなと独りごちていたが、それだけではなかったのだ
この法律は内容が内容だけに、主要メディアは一切報道しなかった
一般にはほとんど知られていない
だから、カメラを回す前に取材者が、法律の条文を見せて説明する
NHKの受信料が「支払いの義務はあるが、罰則はない」と規定されているのと同様に「カメラを見てはいけないが、罰則はない」
最近では、事情を知っている人の中には、記者が説明しようとすると
あぁ"カメダメ法"ね、わかってるよ
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