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2020年3月 7日 (土)

私と新型コロナウイルス

ここまで、以下のお話をしてきました
「新型コロナウイルス感染症」の基礎知識
「新型コロナウイルス感染症」はいつ終息するか

過去2度(SARS、MARS)の新型コロナウイルス流行時は、なんの影響も実感もありませんでした。
それは、台湾、サウジアラビアと遠い国の出来事、対岸の火事だったからです。
日本に入って来ないことを祈るだけでした。

世の中が不景気に沈んでいても、自分の会社が儲かっている人には、その実感がありません。
自分の生活、財産、将来のできごとに何も影響がない場合、人はその問題を畏れることができないものです。


今回の新型コロナウイルス(以下COVID-19)は一月には、ニュースで取り上げられていました。
1月31日、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した時も、それほど、危機感は持ちませんでした。


2月17日、東京マラソン2020(一般)が中止発表。
ボランティアに行けると楽しみにしていたので、がっかりしましたが、COVID-19が怖いとは思いませんでした。
その後、各地のマラソンがこれに倣い中止を決めていきますが、春マラソンの出走予定はないので、これも対岸の火事。


「やばいな」と思ったのは2月19日。
神戸大学医学研究科感染症内科の岩田健太郎教授が、横浜港に停泊したダイヤモンド・プリンセスに入り、その時の様子を語るYou Tubeを見た時です。
教授はひどい咳をしていて「自分は感染が疑わしい」と自らをホテルの一室に隔離して、ネットに動画を上げていたのです。

2001年の「炭疽菌バイオテロ」 2003年の「SARS」対策に従事し「感染症パニックを防げ!」などの著書がある、感染症の第一人者。岩田教授が船内で見て来たものは、区域管理が曖昧で、プロからみると誰が感染しても不思議ではない「心の底から恐い」状況でした。

この動画は「初期の目標は達成された」(本人談)という理由で、早々に削除されてしまい、僕の周りでも「知った時には消えていた」という人が大半でした。


その5日後、2月24日、日本政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下、専門会議)が見解を発表。
「これから1、2週間が感染が急速に進むか収束できるかの瀬戸際となる」

専門会議見解を受けて学校の休校、企業のテレワーク、興行の中止が広がり、Jリーグはいち早く2週間の試合開催をとりやめました。

ただ、このメッセージを受けて「考えて」「動いた」人は一部の日本国民でした。恐らくこの段階で動いた人こそが、真のリスク管理者です。

岩田教授は著書「感染症パニックを防げ!」で、リスクマネジメントには「リスクコミュニケーションが必要」で、それは「心に届くメッセージ」でなければならないと言っています。

専門会議の見解は十分にわかりやすく、日頃から「考えて」暮らしている人ならば、すぐに「部下を在宅勤務にしよう」「イベントを延期しよう」と動いたはず。
しかし、実際に多くの人が「反応」したのはさらに3日後。

専門会議から3日後の2月27日、日本政府が「全国すべての小中高校などに3月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう要請する」と発表。
ここから、多くの人が「会議の中止」「在宅勤務」に動きました。

実際のリスクが「COVID-19」を数倍上回るものだったら、その3日遅れが命取りになるかも知れない。
ことが起きてから、情報も集めずに怖がる人は「考えず」に「動かない」で済む情報にすがろうとする。
日頃から微弱に怖がっている人が「リスク管理のできる」「用心深い」人であり「考えて」「動ける」人。

この次は、きっともう少し多くの人が、少し早く動くでしょう。

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