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2020年4月11日 (土)

「個人情報は扱っていないから、僕らセキュリティは関係ないよ」

2000年~2005年頃
「パソコンのことは僕らの仕事じゃない」
という人がいた。
企業において、ようやく一人一台時代が訪れて間もない頃だ。
自分ではパソコンを使っているが、自分の仕事ではないと言い張るのである。

サトウさんが僕にシステムの発注をする。
僕が要求仕様について尋ねる。
するとサトウさんが言う

「パソコンのことは僕の仕事じゃないから任せるよ」

僕は苦笑いして、尋ねる
それじゃ、どのようなものを作ればいいんですか?
するとサトウさん

「僕らが思う通りに動いてくれればいいよ」

つまり、当時のSEはユーザーの脳みそを透視する能力が必要だったのだ。
今思えば懐かしいが、むちゃくちゃな話しだ。
今だから笑えるが、当時の僕は腹を立てていた。


2010年頃には、もうそんな声は聞かれなくなった
ところが・・
2015年以降はこれが「セキュリティ」に遷った。

誰もがパソコンを使っている。
自分のパソコンには大量の業務資料を保管している。
・売り上げ実績
・取引条件
・得意先リスト
・商品企画
・販売企画
・業務手順書

それらは企業としては秘密情報だ。
「秘密情報」というのは、ものごとを真剣に考えていない人が、責任をぼやけさせるために使う言葉で、不正競争防止法には「営業秘密」という定義がある。

クラウドで無料で利用できる便利なサービスを使い、そこに「秘密情報」を置いて会社から、自宅から、いつでも何処でも、好きなだけアクセスできる。ということは盗み放題。

そして、サトウさんが言う
「個人情報は扱っていないから、僕らセキュリティは関係ないよ」

個人情報だけが秘密だと信じて疑わない人が、企業の営業秘密の管理をおろそかにする。
身内からも悪者からも、盗み放題。
これを僕は「個人情報病」と呼ぶ。

システム担当者ならば「わかる、わかる」と言ってくれるはずだ。
しかし、システム担当者以外の人には、この危機感は伝わらない。

恐らく、2030年頃には営業秘密を守ろうという風土が根付くだろう。
そして、それまでに膨大な情報が盗まれるだろう。
そして、それを誰も気づかないだろう。

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