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2020年5月26日 (火)

緊急事態宣言が解除された

もしも、僕が新橋の通行人だったら・・

新橋駅前のSL広場はテレビ取材のメッカだ。
酔っ払いのお父さんにアンケートを採ったり、とびきりのニュースがあった日「町の声」を拾ったり。
ほどよく賑わっているが、取材している後ろでピースするお調子者が群がって絵面の緊張感が失われるということもない。
各放送局からも移動時間が短い。
取材する側としては、とても都合の良い場所だ。
恐らく、地権者も手軽に撮影許可を出してくれるのだろう。


テレビ局の取材記者が、駅へ向かう僕を呼び止める。

記者
**(局名)なんですが「**ニュース」なんですけど、緊急事態宣言解除について取材をしているのですが、今少しお時間いただけないでしょうか?
(文章にすると変だが、人の話しことばなんて、だいたいこの程度である)


はい

記者
それでは、カメラの方を見ないで私の方を見て話してください

僕は「はい」と快く2つ返事。
たとえ相手がテレビ局ではなくても、僕は見知らぬ人に協力を求められた時、好感度の高い人を装う。
取材が始まる。


記者
緊急事態宣言が解除されました


あぁ、そうですね

記者
今のお気持ちを聞かせてください


え゛気持ちですか・・・
(5秒黙り込んでから)
今はとても、透明な気持ちです

記者
と、透明?ですか・・それは、どういう意味なのでしょう?


たくさん考えて、たくさん本を読んで、たくさん片付けをして
自分のこと、家族のこと、社会のこと
生き方、働き方、人との付き合い方
ゆっくりと考える時間があったので、とても考えが整理されて、すっきりとしているのかなと想います
それが、透明な気持ちということです

記者
ありがとうございました
いただいたご意見が放送で使われるかはお約束できないのですが、貴重なご意見をありがとうございます

僕は足早に立ち去りながら、独りごちる
だいたい、いきなり今のお気持ちってなんだよ
曖昧すぎるだろう。もうちょっと、工夫できないのかな。いったいその仕事何年やってるんだ?


テレビ局の記者はカメラを担いだスタッフに言う
「なんだ、今の?詩人気取りか?」
記者の前には、顔に「いかにも、大衆の言いそうなことを言うよ」と書いてあるおばちゃん2人組が待ち構えている。


これまでにテレビの取材を受けたことは何度かあるが、その映像が使われたことは一度もない。
テレビ局名が入った「取材お礼セット」はもらったけれど。

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