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2020年6月19日 (金)

DJとミキサーとリスナーの信頼感

スタジオのレコードをかける人(ミキサーかな)はエアチェックしている僕らの気持ちを察して、DJの声をマイクオフしてから2秒ほど間を開けて静寂を作ってくれる。
僕らはその猶予の間に[PAUSE]ボタンを上げればよい
この安心感が僕らとこの番組をつなぐ信頼。今風にいえば絆だ。

AMの番組は音質がいま1つということもあり、エアチェックには向かないが「RKBベスト歌謡50」を録音するリスナーはいた。
こういった番組ではDJの声と音楽の頭や終わりが被ることも珍しくない。そこは保証されていないというのが、僕らの認識だった。

ある時、リスナーからの「エアチェックしているから配慮して欲しい」という投書に対して、ハヤシさんは「この番組はエアチェックを想定していません。DJと音楽の妙を楽しんで」と明確に応えていた。
多くのリスナーはそれに異論がなかったし、僕はハヤシさんのように、誤解を恐れずしっかり主張を通せる大人になりたいと想った。
これはけっこう本当である。
そうか、僕のこの性格はハヤシさん譲りだったのか・・
今気づいた


さて「夕べのひととき」では、LPのA面が終わる
3秒ほど間を置いて、DJが再登場する
NHKなのでCMは入らない
そろそろ終わりかなとは想っているものの、A面がいったい何曲入っているのか、どれがA面最後の曲なのかわからないので、DJの声を聞いてテープを止めていた。

DJは僕らのために間をつないでくれる
いやぁ陽水いいですね、進化してますねぇ
と言ったかどうか知らないが、とにかく話しながら時間をつくる。
もしかすると、ここでリクエストハガキを紹介していたかも知れない。
この番組でどのレコードをかけるかは、リスナーからのリクエストに拠っていた。

親から「おいおい頼むから、もっとお金を使って減らしてくれ」と懇願される子供以外は、お小遣いで買えないレコードをリクエストする。
それは、大抵、発売されたばかりの新譜だ。
週刊FMの新譜紹介で「おっ甲斐バンドの新しかとのでとる」と見つけると、僕らは親からせしめた使わずに余った年賀はがきでリクエストを書いた。
1度だけ、僕のリクエストが叶いペンネーム(最近はラジオネームと言うようだ)が読まれたのは、友川かずきのLPだった。
「若いこだま」のDJをやっていたとはいえ、当時の友川はマイナーで(その後もか)正直なところ、そのLPがかかるとは想っていなかったので「あぁNHKに一生ついていこう」と誓ったのだった。


DJがツナグ間に僕らはカセットを終端まで巻き送りして[EJECT]
リードテープを鉛筆ときどき指で起用に回して磁性体のついた所に合わせて、さっきの裏面にしてテープを装着。再び録音スタンバイ
つづいてB面をエアチェック。


ラジオから録音したテープを個人で楽しむことは合法だとはいえ「夕べのひととき」ほどエアチェックファンに親切な番組は後にも先にもないと想う。

当時はレコードを録ることに必死で、それだけしか録音していなかったが、今となっては番組の始まりから終わりまでの一部始終を録っておけばよかったと想う。

ときおり、カセットに残っている消し忘れ、余計に録れた音が、後世にはとても貴重だ。

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