よし、血を止めよう
三話
目の前で僕の血が30滴おちている
昔をを懐かしんでいる場合ではない
さぁ、どうしよう
そうだ、血を止めよう
このまま死ぬのか、いやいや、それはないな
まず、その選択肢は消した
ただ、流血は止めなければならない
数時間前にテレビの刑事ドラマで見た血は、視聴者のショックを和らげるためか、少しオレンジがかっていたが、目の前に落ちた血は本物の色をしていた。本物だから・・
明確な言葉が思い浮かんだ。
「大変なことになった」
何が大変なのかというと、
1,怪我が及ぼす今後の生活への影響
2,ガラスが割れた場合の経済的損失
3,傷が残ること
この3つを同時に想定したからだ。
ガラスが割れたのであれば、傷口に刺さってはいるかも知れない
ブラインドが遮っているため、窓の状態が見えない
床にガラスを探す
ざっと見たところ、ガラスは見つからない
よし、血を止めよう
幸い、コロナ禍が始まって以来、いつでもハンドタオルをポケットに忍ばせている。
右のメガネレンズに血が流れ落ちて、視界が悪くなってきているところをみると、どうやら傷は右上らしい
タオルでこの当たりが傷口だろうと推定してそっと押さえる
ガラスが刺さっているような感覚はない
さて、どうしようか
むやみに歩き回るのは危ない
それに、あとで血の始末をする範囲が広がる
右手にはタオル越しにじゅっくりと血の感触が伝わってきた
これは、唾付けて治るとか、消毒と絆創膏の世界じゃないな
よし、相談しよう
確か#7119だったと思う
以前、新聞で「119番にかけて救急車をタクシー代わりに呼ぶ人がいて、喫緊の救助が遅れている」という記事を読んだことがある
幸い、自分の足で歩いて行けそうだ
まずは救急の専門家の意見を聞こう。
スマホの画面に書いてある数字が頼りない
プッシュホンで育った世代なので、ボタンの凹凸がないと押している実感が沸かない
試しに#7119とタッチしてみる
番号は合っていた
つづく
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