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2020年7月 4日 (土)

ラジカセのゴシック様式を壊して網戸にする

スタジオ1980とは縁が無かったのだが、未練はうっすらと残っていて、消しゴムで消せるようにはいかなかった。

1974年に発売されたスタジオ1980は、その後、1年ごとに「MarkⅡ」「MarkV」と進化を遂げる。僕は雑誌で動向をチェックして「モデルチェンジの度に千円上げていく作戦だな」と独りごちていた。

1976年には後継機「スタジオ1990」が発売される。
スピーカーは20cmに拡大し、その偉容を誇示するかのように全面がフルネット仕様になった。
つまり、全面網戸を張ったようなものだ。

僕のNational RQ-552は12cmダブルコーンスピーカーの前面にゴシック建築のようなデザインがあしらわれてる。それに比べて1990の機能美を前面に出した潔さはどうだ!
僕は網戸に憧れた。


当時、僕にはオーディオ仲間の友達ができていた。
クラスが違うフジオカ君とどうやって知り合ったのか記憶が無い。
接点といえば、家がとても近かったということだ。

彼は時々、なめくじが出没する僕の部屋へやってきた。
自作のスピーカーを壁から下げていたのもその頃で、恐らく彼の影響だと思う。音源はお年玉で買ったミニテレコ。後に登場するウォークマンのような形状をしたテープレコーダーだ。AIWAだったかSANYOだったか記憶がない。

僕はこれを英和辞典の箱を加工して作った盗聴器に入れるために買ったのかも知れない。
もう記憶は曖昧だし、考えただけでも荒唐無稽だし、正確に思い出すのも面倒くさい^^;)

冒険王の通販広告で育った世代ならば、わかってくれると思う。
「盗聴」「スパイ」という言葉は甘いささやきだった。
結局、その盗聴器を実戦投入する日は訪れなかったし、盗聴する対象も特に考えていなかった。若いということは、それだけでバカなのかも知れない。


僕はある日、暖めていたアイデアを実行に移す。
下駄箱の缶缶に入っているドライバーやプライヤーなど、ありったけの工具を駆使して「RQ-552」の"ゴシック建築"を取り壊す。
ゴシックの下には網戸がある。表の装飾を取り外せば「スタジオ1990」の網戸が再現できると思ったのだ。

作業は難航した。装飾のエッジに沿って真円が切り出さればと期していたが甘かった。それでも、バリが残りまくりの網戸が出現し、一定の成果は出た。

大切にしていた「RQ-552」に対して、なぜそんな無茶なことをするのか
それは、長く連れそううちに、愛着が薄れていたに他ならない。
今思えば、よくないことだ。


その週末、尋ねてきたフジオカ君は、いつも通りにかっと馬のように笑って言った。
「いやいや、派手にやりましたな」
ラジカセと僕という相対関係を知ったうえで、ひとこと言ってくれる友達がいて、僕は幸せだった。
ただ、フジオカ君とはその後、音信が途絶える。特に理由は覚えていない。

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