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2020年7月22日 (水)

足よりも弱く、石頭より強い網入りガラス

五話

救急病院がすぐに受け容れてくれることになり、少し落ち着く

治療の段取りはついた
さて、病院まで、どうやって行くか?
こんな夜中だから、タクシーが来るまで時間がかかるかも知れない
意識はしっかりしているので、クルマで行くか

だが、衣服が血だらけになっている
血を止めながら片手で運転というのは危なっかしい
それに、急に意識が遠のいたらどうする
やはり、安全策を採ろう

あいにく、iPhoneの電話帳には何も登録していない
Siriに「近くのタクシー会社」を探してもらう
遅い時間にも関わらず、すぐ来てくれることになった


ここで、一息つく
さぁ、何をしよう
そうだ、現状確認だ
ブラインドをめくって掃き出し窓のガラスがどうなっているか見る
割れてない!
髭剃りをしているところを背後から襲われるCMを思い出す
(それは、切れてない)

これで、最悪の事態から1ランク下がった
ワイヤーが入っている網入りガラスは、僕の石頭より強いらしい

もう10年以上前になるが、この網入りガラスを割ったことがある。
理由は忘れたが、ベランダに居てなにかの拍子でガラスを蹴ってしまった。
まさか、割れるとは思わなかったが、怪しげな十文字型に亀裂がはいった。
おいおい、それで割れるのかよ・・・

すぐに近所のガラス屋さんを呼びに行った。
店主のお爺さん曰く
「最近は体も動かなくなってきたので、そろそろ店を閉めようと思っててね」
そのせいなのか、ガラス交換は難航し、僕も手伝ってなんとか交換した。
お爺さんは僕のお蔭で仕事をやり遂げることができたとお礼を言って帰っていき、数ヶ月後には本当に廃業していた。
少しまけてくれたものの、網入りガラスは通常のものより値が張り、痛い出費だった。

 

もしも、割れていたら
怪我がさらに大きくなったかも知れないし、経済的にも痛い
後始末にも時間がかかる
割れなくて助かった

ならば、なぜこんなに血が出ているのか?
それについては、その時は思い至らず、すぐに考えたのは着替えだった。
若い頃、タクシーでゲロを吐いて弁済金を払ったことはある。とっさに財布を出して1万円札を渡したら、運転手さんがすんなり受け取ったので、恐らく相場より多かったのだろう。
だがまだ、血だらけで乗ったことはない。マナーとして室内を汚さないようにしなければ。

しばらく、膝をついて座っていたため、短パンが特に血を浴びていた。
短パンを履き替えて、足に付いた血を拭き取る。
血で染まったメガネの右レンズから血糊をティッシュで拭き取る
持参する保険証や診察券を揃えていると「玄関に着いた」とタクシー運転手から電話が入った。

はやっ

ホットカーペットに落ちた30滴の血の始末は後回し
しかし、血だらけのカーペット、住人は不在、鍵は閉まっているとなると、まるで刑事ドラマの現場だな・・

つづく

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