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2020年10月14日 (水)

DIATONE DS-25BⅡの黄金律

TRIO KA-8100 の中央に鎮座したどでかいボリュームつまみを2時、3時まで回したい
しかし、スピーカーを買った後も、一度もその願いは叶わなかった

アンプを買ってから1年は小型のトランジスターからモノラルの平坦な音を聴いて過ごした
その頃、聞いていた音楽はチャゲ&飛鳥、カルメン・マキ、イルカ、イーグルス
それらは学部の友達、間借りの同居人から借りたレコードだった
貸しレコードが始まる1年前のこと。1日の食費500円で暮らす僕には、新たに出会った友達が所蔵するレコードが新たな音楽との出会いだった
今その頃を思い出しても、トランジスターラジオだからと言ってショボい音だったという印象はない。音楽はいつも僕の心の中で光り輝いていた。
その生活の最後に出会ったのが佐野元春。アツコ先輩が「moto君、このレコード録音してきて」と持たされたのが「Heartbeat」だった
レコードプレーヤー、アンプ、カセットデッキを揃えている学生は多くなかったのだ。

四畳半の間借りから六畳のアパートに引っ越してスピーカーの置き場所ができた。しかし、アルバイトで貯めるスピーカー資金は、目標金額まで届いていない。
そんな時、僕にとっての奇跡が起きた

西新のベスト電器に行くと、いつもスピーカー売り場で時を過ごす。各社が投入する新製品をチェックして、最後に足を止めるのは高校生の頃から憧れていた1台だ

オーディオ機器には僕なりの黄金律がある
ラジカセならば、左にカセット、大口径スピーカー、その斜め上にツイーター(ツィッターではない)これはSONY スタジオ1980に結実されている
カセットデッキならば、左にカセット、その下にロジカルコントロールの丸ボタン、右上に二連の四角いピークメーター
そして、スピーカーならば下にウーファー、斜め上にツイーター、その右にコントロールスイッチ。これがDIATONE DS-25B 1台28,000円 1976年発売
その頃には代替わりした DS-25BⅡが出回っていたが56,000円には手が届かない

ところが、その日、ベスト電器の店頭でDS-25BⅡが現品処分価格で売られていた。
ツイーターが心ない客によりつぶされて凹んでいたのだ。
見た目から入る僕としては、本来、その瑕疵は許されない。凹んだ銀色のコーンを見る度、気が滅入りそうだ。しかし、カバーを付けておけばわからない。何より、今ならば、憧れのDS-25BⅡが僕の部屋にくる。僕はすぐにお店の人に手付けを打って、銀行へ走った

DS-25BⅡはそれから20年近く、いつも部屋の主役を張っていたが、しばらく音楽から離れる時代が続き、アンプ、デッキ共々処分した。
今も有楽町のビックカメラに行くと必ず、スピーカー売り場で一時を過ごす。そこに、かつての黄金律を探してみるが、見当たらない。もしも、見つかったとしても、それを鳴らすアンプもない。それ以前に置く場所がない。そもそも、大きな音を鳴らす住環境がない
一軒家に住み、防音設備を施したオーディオ部屋を構える夢を見る
部屋の灯りを落とし、ディレクターチェアに座り、アンプのボリュームを二時まで回す
そんな暮らしをいつ諦めたのだろう。いや、そもそも真剣に目指さなかったのか
人生になにか悔いがあるかと問われれば、この案件を真っ先に挙げるだろう
時間貸しでそういう部屋を使えるサービスがあったらいいんだけどな

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