ふるさと納税が国会を通るのは難しくない理由
ふるさと納税が「お得だから、やった方がいい」ことは、感じていただけたと思う。
決済(引き落とし)額 115,000円
税還付 113,000円
返礼額 34,500円
●2,000円の手出しで 34,500円の返礼品なので 32,500円お得
では、仮に上限(目安)115,000円分の人が、上限を超えて 135,000円の寄附をしたらどうなるのか?
決済(引き落とし)額 135,000円
税還付 113,000円
返礼額 40,500円
●22,000円の手出しで 40,500円の返礼品なので 18,500円お得
つまり、上限を超えた20,000円のうち、16,000円については「ふつーに通販でお取り寄せしているようなもの」となる。
決して、罰金を取られるわけでもないし、損をするわけでもない。
だから「1円でも超えないようにする」ところに神経をすり減らすのは、ふるさと納税を楽しむどころか、人生をつまらなくしてしまう。
「ふるさと納税って出身地に寄附するんだよね」
という誤解をしている人も多い。
これは「青春18切符」が「社会に出る前の暇なうちに若者に旅をさせる周遊券」だと思われているのに似ている。
正確を期せば、対象は「ふるさと(故郷)」とは限らないし、行為は寄附であって「納税」ではない。
定義にこだわれば「税所轄不問任意自治体寄附制度」のような名前が付くのかもしれないが、それでは愛されない。
制度は活かされてこそ、その存在価値を増す。
見るからに難解で胡散臭くて面倒くさそうな名前では、関心を集めるのが難しい。
ふるさと納税は品川区に住む人が品川区に寄附してもよい。
寂れている郷里を応援したいとの想いで、郷里に寄附してもよい。
もちろん、それ以外の自治体でもよい。
寄附金は寄附先の自治体へ流れる。
税金の還付は国税※と居住地の地方税で行われる。
ということは、税金の移転(奪い合い)が起こる。
※確定申告をした場合の所得税還付部分
菅義偉(当時総務大臣 現在は総理大臣)が編み出したこの制度は、2006年当時としてはかなり異色だった。
今でこそ、官営の「ポイント制度」や「Go toキャンペーン」といったものが一般的だが、当時、この制度を調べた僕の率直な感想は「よくこんな制度が国会を通ったな」だった。
「東京が1人負け」の制度になると踏んだからだ。
人口が多い地域は相対的に寄附額も多くなる。その寄附先の大半が東京以外だろう。ということは、税金が東京から他地域へ移転する。
ただ、考えてみれば、言い出しっぺになる人が苦労するだけで、国会を通すこと自体は難儀ではない。
なぜならば、国会議員は地方の人が多いからだ。
かつて、東京一極集中の打開と国土の均衡ある発展を掲げて首都移転が決まりかけていた時、衆院特別委に参考人として呼ばれた8人のうち、僕以外の7人は地方の利益代表者たちだった。
特別委の委員(国会議員)も議席比例配分なので、大多数が地方議員。
日本の立法機関は地方の人達で動いているのだと実感した。
つづく
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