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2021年4月29日 (木)

J2リーグが「コーナーキックリーグ」になるかも知れない

J2リーグ10節、その日最も遅い時間帯に行われた琉球-甲府の試合を見ていて、僕はそのルール改正を知った。

その場面は両チーム無得点で迎えた後半44分
琉球のコーナーキック(CK)
GKの後ろから「戻って来た」琉球の岡崎がGK岡西の右手の自由を奪い、ボールはゴールに吸い込まれる。
琉球先制。抗議した岡西にイエロー。
猛然と抗議する甲府の選手、伊藤監督
試合はしばらく止まり、笠原寛貴主審が甲府のスタッフ達にベンチに下がるよう促す。
この時僕は、DAZN解説者の意外な一言を聞いた。

「キーパーチャージというものが、もうないので」

キーパーチャージはGKへのコンタクトを違反とするルール。
1990年代以前に小学校を卒業した人ならば、体育の副読本で習っている。
バスケットボールのトラベリングと同じくらい、多くの人がその意味を理解しているルールだ。

※トラベリングは今も存続している。ドリブルしていない状態で3歩めに踏み出した足が浮いた時点で成立(3歩めを着地した時ではない)

Google先生によると、キーパーチャージは1997年のルール改正でなくなった。現行ルールではGKもフィールドプレーヤーと同じ扱い。"通常の"コンタクトであればファウルではない。


さて、問題のシーン

琉球の岡崎はボールを取りに行ったGKの右手を押さえている。
これはプレーを妨げる行為(ファウル)ではないか?というのが甲府側の主張。
一方、琉球にしてみれば故意ではない「ボールに行ったプレーだ」ということになるだろう。

ボールを取りに行くGKの手を押さえてよいならば、そういう戦術すら生まれそうだ。

■CK戦術
CKでは2人の選手がGKの両脇に立つ。味方がヘッドで合わせたらこの戦術を発動する。
GKがボールをキャッチに行こうとした時、遅れないようにジャンプ。

「ボールに行ったプレー」と見なされるよう、ボールに行く振りをして巧妙にGKの手を引っかける。
両側から手を押さえられたGKは手が使えない。シュートは難なくゴールイン!
こうしてCKからゴールする確率が格段に上がる。

こうなると、攻撃は両サイド中心になる。
中央は捨てて、左右の奥への侵入を狙う。
いつもならば、フリーの段階でクロスを上げるところだが我慢。
DFを吸い寄せてからクロスを上げて、DFの足に当ててCKゲット!
これを繰り返すと、効率よく点がとれる。
そのうち、昇格や降格がかかるチームはこの「CK戦術」に特化して戦う。
こうして、J2リーグは世界にも希な「CKリーグ」となる・・・


試合から2日後の4月27日。
Jリーグは甲府に罰金25万円を課した。
試合後も甲府の選手が抗議を行ったためだ。

試合後に抗議してはいけない。
甲府に対して罰金を科すのは妥当だ。
一方では、J2リーグを「CKリーグ」にしかねない判定を下した笠原寛貴主審と審判団の意見も聞いてみたい。
(副審:穴井千雅、津野洋平 第4審:佐藤貴之)

このシーンは翌週のJリーグジャッジリプレイで取り上げられ、ゲスト三人の意見は「ファウル」で一致していた。
また2人が、GKの手を押さえた琉球の岡崎が「戻りオフサイド」であると指摘した。

「ファールチャージ」「オフサイド」を取らなかった主審の判断により、琉球は勝ち点+2を得ることができた。
琉球はその2節前の東京ヴェルディ戦では、本来ファウルではない「支え手ハンド」でPKを得ている。

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