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2021年5月13日 (木)

個の力がある選手たちは戦術理解力も高い。松田さんの「守り方を教えて」が面白い理由

松田さんの初陣を後半additional timeの得点で勝つという劇的勝利の余韻に浸ったのは48時間だった。
ここからは次節までの間、サッカーを忘れられる。それは平穏な日々であることを意味する。
これが、秋田戦のようなホームでの逆転負けの場合も余韻に浸る時間は同じ。ただ、その後がいけない。サッカーを忘れていたくても、時々悔しさという感情が沸き起こり、心を蝕む。終わったこと、特にそれが悪い結果の場合、忘れることが一番なのだが、まだまだ修行が足りない。

それにしてもタカさんの退任が発表されたのは5月3日夜、それから5日の準備で、ここまで4-4-2のゾーンディフェンスが浸透するとは思わなかった。
などと、訳知りに言えるようになった要因は
V長崎サポ仲間が教えてくれた松田さんの著書「詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください」(以下、守り方教えて)にある。

「詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください」
版元:カンゼン
書籍の価格1500円(税別)
Kindle Unlimited対象

この本の奥付は松田さんがV長崎に来た2018年2月。
4-4-2のゾーンで守るサッカーについて、Q&A形式で書かれている。
疑問に答えるカタチの本というのは、世の中に溢れているが、ピンと来ないものが多い。
なぜかと言えば、そもそも本に書くほどの情報ではないことを書いているからだ。
たいしたことのない情報を「読者の立場でわかりやすく書きますよ」という風情で書いている。
待っている答えがピンボケだから、つっこむ質問は「無理やりかよ」というものになる。
「それでは例え話を」といって、グランパパ、ママ、まもる君とユミちゃんみたいな家族設定のドラマ仕立てにする著者もいるが、ページを押さえている指の力がそこで抜けてしまう。

ところが、この「守り方教えて」は違う。
こんなことを書いてしまっていいのか?と思うほど、手の内を書いている。
実践で磨いた理論があり、それをわかりやすい言葉に落とす表現力がある。
僕の座右の銘「アマチュアはものごを複雑にするプロこそがものごとをシンプルにできる」にまさに当てはまる。
プロの言葉はシンプルなのだ。

かつて、日本には実践はあるが表現力のない人が多かった。
それが今や、実践はないのに表現力ばかりある人が世を席巻している。

「守り方教えて」を読み進めて、最初にこう考えた。
①これだけの内容を選手がピッチ上でできるのだろうか?
これは、準備期間がわずか1日の秋田戦では不発だった。
しかし、5日の準備を経た北九州戦では、今期初クリーンシートという結果を出した。

個の力がある選手は戦術理解度も高いのである。
もちろん、これまでに他のクラブで4-4-2ゾーンを経験してきた選手もいるだろう。

②皆がこの本を読んで同じことをしたら、アドバンテージが薄れるのでは?
とも考えたが、実践と理論の間には膨大な行間があり、それを理解させる相手(ここでは選手)も多種多様。そこは指導者の実践と表現力を超えられない。

個の力がある選手たちに実践と表現力がある指導者がかみ合えば、そこの曲がり角の先にはよきものが待っていると信じて、V・ファーレン長崎と共に歩んでいける。

そして今、こうも考えている。
③2018年から3年間、アカデミーを率いてきたということは、江川湧清に続き次世代を担う選手がこれから輩出されてくるのではないか?
そして、下部組織からトップチームを貫く「4-4-2ゾーン」のチーム作りが、いずれ大輪の花を咲かせるのではないか?

「守り方教えて」で予習すると、観戦がさらに楽しくなった。
カメラはボールを追っているDAZNでも、画角の幅にコンパクトに選手が入ってくると嬉しい。
現地で(自分の目で)ピッチを俯瞰すると、さらに楽しいのだろうが、それには左右が見渡せる位置で見なければならない。陸上競技場のゴール裏からではちょっと難しい。


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